ヘンリー王子「子どもにさせるべきではない」と批判。ダイアナ元妃の葬儀についてふり返る
また、ヘンリー王子は葬儀の日の朝のことについて、自身の回想録『SPARE(原題)』に次のようにつづっている。 明るく晴れたその朝早く、私たちはそろって歩き始めました。叔父のチャールズ(・スペンサー伯爵)が私の右側に、その向こうに兄のウィリーが立ち、さらにその右側に祖父がいました。そして、私の左隣には父がいました。 歩き始める前、祖父がどれほど落ち着いた様子でいるかに気付きました。まるで、通常の公務に臨もうとしているかのようでした。……みんなまっすぐ前を見ていました。私はうつむき、道路を見ていました。ウィリーもそうでした。 感覚がまひしているようだったのを覚えています。拳を握りしめていたのを覚えています。視界の端に、常に少しでもウィリーが入っているようにして、そこからたくさんの力をもらっていたのを覚えています。 記憶にあることのほとんどは、音です。汗をかきながら前を歩く6頭の茶毛の馬たちの“くつわ”が立てる音、カツカツというひづめの音、馬が引く(棺を乗せた)砲車の車輪がきしる音……。
いっぽう、ダイアナ元妃の弟スペンサー伯爵は、甥たちが自ら望んで棺の後ろを歩いたのだと思っていたという。そして後に、「そうさせてしまったことを後悔している」と語っている。『BBC』に対して伯爵は、「甥たちがそうしたがっていると嘘をつかれたのです。もちろん、彼らは望んでいませんでした」と述べ、王室のこの決断を「おかしなもの、残酷なもの」だったと指摘している。 『ピープル』誌のインタビューに対しても、「ママの遺体の後ろを歩くことが、少年にとってどれほどの心の傷になるか、そのことを本当に心配していた」と述べている。伯爵は実際に、2人に棺の後ろを歩かせることを止めようとしたという。
伝記『King: The Life of Charles III(原題)』を2022年11月に出版したジャーナリストのクリストファー・アンダーセン氏は、チャールズ国王はこのときの決断を、「後悔していると思う」と述べている。 「このときの記憶は、国王に絶えずついて回っていると思います。同じ記憶が、息子たちをずっと苦しめているからです」「……おそらくチャールズ国王は、そのように息子たちを苦しめたことについて、自身にも責任があると考えているはずです」 Netflixのドラマ『ザ・クラウン』シーズン6では、この葬儀の場面が描かれている。ウィリアム王子を演じるルーファス・カンパとヘンリー王子をフリン・エドワーズは、実際の葬儀の様子を録画で見た演技コーチのポリー・ベネット氏から、その日の王子たちの行動を想像し、再現するようアドバイスを受けたという。そして、撮影は慎重に、細心の注意を払って行われたとされている。
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