豊洲住民訴訟 小池知事「石原元知事はどう決断したか明確にすべき」
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「石原元知事の責任はない」としてきた従来の東京都の対応方針を見直すことが表明された豊洲市場の用地売買をめぐる住民訴訟。小池百合子知事は3日の定例会見で、この裁判の弁護人を新たに6人選任したことを発表した。新しい弁護団は今後、用地購入の事実関係や石原元知事の責任の有無の調査を進める。一方、原告側の弁護士は、石原元知事の裁判での証人尋問を求めていく意向を示した。 【全編動画】小池都知事が定例会見 石原氏の証人尋問や百条委員会は
●新弁護団
この住民訴訟は、2012年5月に築地市場の業者らが都を相手取り東京地裁に提訴した。土壌汚染が確認されたのに、その汚染対策費用を適正に見込まない価格で、石原元知事が東京ガスと豊洲市場用地の売買契約を結び都に損害を与えたとして、石原元知事に土地取得額約578億円を請求するよう都に求めている。 都は「被告」であり、これまでは石原元知事に賠償責任は存在しないとの立場を取ってきた。ところが先月20日、小池知事はこの対応方針を見直すことを明らかにした。用地選定や土地購入をめぐっては経過が不透明だとの指摘があり、事実関係や責任の明確化は適正な都政運営に不可欠だと説明した。 同時に都の弁護人を入れ替えることも表明し、3日の会見で発表された。新たに選任されたのは、最高検公安部長などを歴任した勝丸充啓(かつまる・みつひろ)弁護士を団長とする6人。小池知事は「最も重要なことは豊洲市場の土地の売買契約に関してのさまざまな問題の解明、そして当時の(石原)都知事の損害賠償責任があるかどうかという損害の内容の確認、そして損害額の算定」と述べた。
●証人尋問
今回の都の方針転換を原告側はどう受け止めているのか。代理人の大城聡弁護士(42)によると、「裁判で石原元知事の責任が公正に判断されるのでは」と今後の裁判の行方に期待する声が上がっているという。 大城弁護士は、これまでの都の対応を「なぜ汚染された土地に移転しようとしたのか、なぜ土壌汚染対策費用を考慮しない価格で購入したのか、都の主張から納得のいく材料は出なかった」と批判。今後あらためて裁判での石原元知事の証人尋問を求めていくとした。昨秋にも証人尋問を求める意見書を東京地裁に提出しているが、「経緯を最もよく知る最高責任者。裁判の場で説明責任を果たしてほしい」として必要性を強調した。 石原元知事の証人尋問はこれまで行われていない。小池知事は3日の会見で「どう対応するかは石原元知事の判断だ」としつつも、「(用地買収などを)どのように決断してきたかは明確にされるべきだと思っている。逃げてしまっている印象は良くないんじゃないか、これまでの石原さんらしくないんじゃないか」と述べた。 (取材・文:具志堅浩二)