天皇、皇后両陛下お手植えの苗木 今秋に定植 岡山県が方針 植樹祭の遺産を継承
岡山県は第74回全国植樹祭(5月26日・岡山市)で天皇、皇后両陛下がお手植えされた県の木・アカマツやクロガネモチなどの苗木について、今秋に県北部の市町村を中心に定植する方針を決めた。記念式典で両陛下が着座した「御座所」をはじめとする木製製品も県有施設に設置したり、市町村に譲渡したりする予定で、レガシー(遺産)の有効活用を通じて植樹祭の意義を継承したい考えだ。 両陛下がお手植えしたのは少花粉のヒノキとスギ、アテツマンサク、キクザクラを含めた計6種類の苗木。定植は9~12月に県北部の市町村のほか、県南部の県有施設での実施を想定し、調整を進めている。お手播(ま)きした少花粉のヒノキとスギ、ヤマザクラ、イロハモミジの種は県内の種苗生産者が育て、2年後をめどに希望する市町村などに配る予定。
一方、植樹祭の会場となったジップアリーナ岡山(岡山市北区いずみ町)や屋外の特設スペースに設置したモニュメントについては全て再活用する。御座所に設置した伝統的木工技法「組子細工」による大型の背面装飾は人が多く集まる県有施設に常設し、屋外スペースで来場者を迎えた新建材CLT(直交集成板)製の六角形のゲートは譲渡先を調整している。 記念式典の出席者が座ったベンチ(3人掛け、30基)や花を入れたプランターカバー(約540個)は市町村を通じて県内各地の学校や公園、公民館に置く。
岡山県で前回開かれた1967年の植樹祭で昭和天皇と香淳皇后がお手植えされたアカマツは岡山市の金山山頂に植えられている。県全国植樹祭推進室は「植樹祭を一過性のイベントで終わらせぬよう、県民の目に触れる場所で活用し、緑化や環境意識の向上を図りたい」としている。