展示を解説する古川さん

　東京帝室博物館（現東京国立博物館）の調査員、故鷹巣豊治氏が行った越中瀬戸窯の発掘調査を紹介する展示が、立山町日中上野の町歴史交流ステーション日なたで開かれている。 　越中瀬戸焼は1588（天正16）年ごろ、加賀藩前田家が瀬戸焼の陶工を呼び寄せたとの記録が残る。加賀藩の御用窯として素朴な民芸陶器を手がけた一方、洗練された茶道具を世に送り出した。大正期に衰え、昭和に入り復興した。 　鷹巣氏は1937年に来県し、越中瀬戸焼のコレクションに魅了された。40年に10日間かけて、3カ所の窯で発掘調査を実施。その後は発掘品を展示したり、調査の成果を雑誌に掲載したりして世に広めた。 　今回は、当時発掘した16点や鷹巣氏が書いた雑誌の文書を公開。展示では発掘調査の本当の目的を「前田家所蔵の茶入れがどの窯から出土し、どの年代なのかを知りたいという欲求が強かった」と紹介している。 　日なたの学芸員、古川知明さんは「発掘調査は復興の手助けになった。歴史的意義を知ってほしい」と話す。展示は9月29日まで。