田中希実が新ウエア「矢絣」から勇気 パリ五輪へ「前にしか飛ばない矢は今の私に突き刺さる」/陸上
日本陸連は1日、新潟市内でパリ五輪の日本代表内定会見を行った。30日に閉幕した代表選考会を兼ねた日本選手権で新たに内定したのは、5人(6種目)。女子5000メートルで大会前に内定済みだった田中希実(24)=ニューバランス=は、1500メートルで参加標準記録を突破して優勝。2種目目の代表内定を決めた。この日は、同日に発表されたパリ五輪の陸上のオフィシャルウエアに身を包み、意気込みを語った。 約1カ月後のパリ五輪開幕を前に、田中の心は複雑だった。「成長できた実感はあるけど、私の歩みが亀の歩みに感じるくらい、世界の動きが早くて。焦る気持ちが今は大きい」と吐露した。 800メートル、1500メートル、5000メートルに出場した日本選手権で、2021年東京五輪8位入賞の1500メートルのパリ五輪内定を決めた。それでも、「タイムや力では、世界での自分の現在地は勝負するにはまだまだ」と語る。7位だった30日の800メートル決勝後には不安があふれ、涙を流した。 そんな田中の背中を、この日アシックスジャパンが発表したウエアが押す。朝日が昇る力強さをイメージしたサンライズレッドに、決断や強さを表す矢絣を取り入れた。機能面も、東京五輪から25%減量し、同社の陸上用ウエア史上最軽量の46グラムとなった。田中は「私はネガティブで後ろ向きになりがち。前にしか飛ばない矢は、今の私に突き刺さる」と語った。 1500メートルは3分55秒、5000メートルは14分20秒切りを目指す。「日本人には無理と思うかもしれないけど、世界で勝負するには向かっていくしかない」。花の都に続く道を、振り返らず進む。(高橋朝香)