70代エッセイスト・高齢者向け3DK団地の「持たない暮らし」。「ものへの執着から離れたとき、空いた隙間を心地よさが満たす」
美術エッセイストとして活躍している75歳の小笠原洋子さん。最低限の荷物で、高齢者向けの団地でおひとりさまの暮らしを満喫中。今回はそんな小笠原さんの暮らしをまとめたエッセイ本『財布は軽く、暮らしはシンプル。74歳、心はいつもエレガンス』(扶桑社)より、小笠原さんが持たない暮らしを選んだ理由やインテリアついてご紹介します。 【画像一覧を見る】
70代エッセイスト小笠原洋子さんの暮らしをまとめた一冊
1日1000円の予算で生活する「ケチカロジー」の生みの親、美術エッセイストの小笠原洋子さん。 現在75歳で年金暮らし。現在は高齢者向けの団地にて、最小限かつお気に入りのものだけに囲まれたひとり暮らしを満喫中です。本書はそんな小笠原さんの豊かでエレガンスな暮らしをまとめたエッセイ本です。 「お金は困らないくらいあれば十分」と語る小笠原さんは、お財布にも環境にもやさしい暮らしを実践中。「1日1000円」暮らしのリアルや、センスあるもの選びの基準、さらにおひとりさまでいることの覚悟など、マチュア世代におすすめの一冊です。 今回は〈クウネル・サロン〉の読者のために、本書の中から一部記事を特別に紹介します。 ※これより下の記事は『財布は軽く、暮らしはシンプル。74歳、心はいつもエレガンス』(扶桑社)からの抜粋です。
高齢者向け3DK団地での持たない暮らし
私の住まいは、東京郊外の団地群の一つで、高齢者向けの3DKの賃貸です。バリアフリー、緊急非常時連絡受信機、転倒防止手すりなどが設置されていますが、築40年に近いので、防音や防湿は不備です。 最寄り駅からはバスで15分ほどかかりますが、バス乗り場には近く、また家から歩ける範囲内に大小のスーパーがあります。 私の住まいの基準は、とにかく「もの」を最小限にすること。室内が雑多に見えず、すっきりさせるのを理想としています。 定職に就いていた頃は、それなりに家具や服も持っていました。でも、大きな洋服ダンスを処分せざるをえなくなったあるとき、「ものから自由になる解放感」を実感しました。この経験から、徐々に私の持たないルールが固まってきました。 ・不要なものを明確にし、なくても困らないものは処分を検討する ・必要なものが出てきたら、まずはあるもので代用する ・すぐに捨てずに、とことん使い切る なぜものを減らすのでしょうか?それは、ものへの執着から離れたとき、その空いた隙間を満たしてくれるのが、潔さという心地よさだからです。そしてこの、「持たないで生きる知恵絞り」によって、生活が活性化していくからです。 私が目指す精神の豊かさは、ものに縛られず、もの選びに煩わされず、必要不可欠なものだけで生きる倹約の隣にあるものだと思っています。