元俳優&ニートのコンビ・家族チャーハン「もう失敗できない」ふたりが結成を決めた理由
東京吉本の若手芸人が所属する「神保町よしもと漫才劇場」から、今押さえておくべき芸人を紹介する新連載『レコメンド神保町』。前途有望な若手芸人が日々、切磋琢磨しているこの劇場の中でも注目の芸人とは。 【写真】結成1年足らずでメディアでも活躍中のイケメンコンビ 第1回は、結成から約半年で劇場所属メンバーに加入し、4月6日(土)に初の単独公演を控える家族チャーハン。歳を重ねてからお笑い芸人を目指したふたりの結成までの秘話も聞いた。
家族チャーハンの武器は「ギャップと伸びしろ」
──まずは家族チャーハンのアピールポイントをお聞きしたいのですが、自分たちの武器はどんな部分だと思いますか。 大石 コンビのというか相方の紹介になっちゃうんですけど、とにかく彼は目につくので、ライブでも先輩方からイジられやすいんですよ。なんていうか……見た目は“コワモテ”だけど中身は“テレカワ”というか……。 ──テレカワとは!? 大石 照れくさくて、かわいいです。あんまり聞いたことないんですけど、たぶん異性といるときとか、そういうタイプなんじゃないかなと思います。 江頭 気持ち悪っ(笑)。 ──ギャップがあるということで。江頭さんから見た大石さんの魅力はどんな部分でしょうか。 江頭 伸びしろですかね。これまでの人生でがんばりきってないので、この先は芸人として本当にがんばると思うんです。持ってる力を全部発揮してくれたら、最終的には松ちゃん(ダウンタウン松本人志)とか(千鳥)大悟さんみたいになれるんじゃないかなと期待しています。 大石 今はいいところがないの(笑)? でも、がんばることを嫌ってきた人生ではあるか~。 ──どんな人生を歩んできたんですか。 大石 養成所に入るまではニートみたいな生活をしてましたね。まず大学受験のとき、私立大学の3科目すら勉強するのをめんどくさがっていたら、英語しかできなくなっちゃって。それで、入試が小論文と英語だけのところしか受からなかったんです。そのあと留年もしたし、卒業してからもぶらぶらしていて、気づいたら本当にできることがなくなってしまって……。それで唯一、小学生からずっと好きだったお笑いをやってみるしかないかって思いました。一応、まわりを笑わしてた記憶もあったんで(笑)。 ──江頭さんが言うように、今はこれまでの人生で一番努力できていると思いますか? 大石 どうですかね。がんばってるなって思える瞬間はありますけど。 ──そう思える瞬間があれば、じゅうぶんだと思います。江頭さんはどんな経緯でお笑い芸人に? 江頭 僕も学生のときからずっとお笑いは好きだったんですけど、本当に好きだったからこそ自分がやるなんてとんでもないっていう感じだったんです。それで、もうひとつの夢だった俳優を目指して、文学座に入ったんですよ。文学座って最初は本科生から始まり、研修科生、準座員、座員ってだんだん上がっていって、最終的に座員になったらそのままずっと在籍できるんですけど、そこにいくまでの5年はそのピラミッドを勝ち残ることだけを考えてやってたんで、いざ最後までいったらこのまま死ぬまで役者やるのか、このまま芸人をやらずに終わったら後悔しそうやなって思い、辞めました。すでに29歳だったので、これが最後かなと。 ──珍しい経歴ですね! 俳優としての経験が活きることもありそうですけどね。 江頭 演技を使う場があんまりないので、活かせてるとは思えないんですけど、先輩方から「お前、なんなん」みたいにイジってもらえるのは、文学座で演劇をやっていたのもあって、ほかの人とは違う空気が出ているからなのかなとは思います。 ──そんなおふたりで家族チャーハンを結成されたのは、芸歴4年目のとき。どのような経緯で結成したのですか。 大石 もともと同期だったのでご飯に行ったことはありましたけど、特別仲がよかったわけではなかったんです。だけど僕がルームシェアしてる芸人が、江頭と組んでみたらいいんじゃないって言ってくれて、それで。 江頭 そうですね。でもすでに芸歴も4年目だし、お互い歳もけっこういってるので、もう失敗できないっていうのがあって、3カ月ぐらい慎重に話し合いましたね。 大石 試しにネタ作ってみたりとかね。 江頭 それぞれほかの人とも試しにやったりしてたんですけど、最終的には一緒にいて楽っていうのが大きかったですね。 大石 そうですね。一緒にいてもストレスが少ないです。これから先、ずっと一緒にいるとしたら、しんどくないことって大事だなって。 ──フィーリングが合った? 大石 合うというかネタだけじゃなく音楽とか映画とか趣味の話でも、具体的にこれが大好き、これめっちゃいいよなって共感するというより、これ好きなやつはちょっとダサいよな、みたいな感覚が近いです。あと、お互いが好きなものに対して、自分はハマらないけどいいのはわかるみたいな。 江頭 組むまでの間も、これやったらダサいよな、みたいな話はよくしてましたね。そういう感覚は近いんだと思います。