「危機感希薄になってきた」…大阪北部地震6年 私有地で進まぬブロック塀撤去へ説得続く
元日に最大震度7を観測した能登半島地震の被災地でも、ブロック塀の倒壊による犠牲者が出た。本震から1カ月以上が経過した2月10日、石川県七尾市内で片付けをしていた60代男性が、倒れてきたブロック塀の下敷きになり死亡。隣接する建物との間にあるブロック塀近くで作業中だったという。
ブロック塀の倒壊で女児が死亡した事故を受けた事故調査委員会で委員長を務めた関西大社会安全学部の奥村与志弘教授は「ブロック塀が世の中に広がっている背景には、比較的低コストで手軽なことがある」と指摘。「建築物の技術的な標準が広がっていくには50年単位の時間がかかるとされ、余程のインセンティブがないとすぐには進まない。行政の地道な取り組みはもちろん、施工事業者も安全安心な技術開発を進めてほしい」と訴えた。(格清政典、木ノ下めぐみ)
■大阪北部地震 平成30年6月18日午前7時58分ごろ発生。同府高槻市や大阪市北区などで最大震度6弱の揺れを観測した。関連死を含め6人が死亡、うち高槻市立寿栄(じゅえい)小4年の三宅璃奈(りな)さん=当時(9)=が登校中、約40メートルにわたって倒れたブロック塀の下敷きになった。住宅被害は滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良の5府県で計6万棟超に上った。朝の通勤ラッシュと重なり多くの出勤・帰宅困難者が出たほか、エレベーターに閉じ込められる事案も相次いだ。