地震経過時間カウントアップ ── 「その時」までのカウントダウン/矢守克也・京都大学防災研究所教授
経過時間を放送することが有効ではないかとの提案も
さらに、テレビやラジオでも、「大津波警報、今すぐ高台へ逃げてください」を反復するだけよりも、地震発生からの経過時間を、時折(より望ましくは、1分おき、5分おきなど定期的に)放送することが有効ではないかとの提案も、筆者から関係者にさせてもらっている。 その理由は、上記のケースだけでなく、たとえば、大阪湾奥の都市部など、津波到達まで余裕時間がより長い地域でも(想定南海トラフ地震の場合)、家具や家屋の下敷きになってしまった方々の救出作業を、どの時点までなら安全に続けられるのかといった観点で、カウントアップ情報は非常に重要だからだ。 大地震直後の経過時間のカウントアップ。小さなアイデアだが、こうした「避難行動のリアル」を見据えた具体的な対策を、「そのとき」がやって来るまでのカウントダウンの中で積み重ねていくほかない。 (矢守克也/NPO法人日本災害救援ボランティアネットワーク理事) ■矢守克也(やもり・かつや) 京都大学防災研究所巨大災害研究センター教授。同阿武山観測所教授、人と防災未来センター上級研究員などを兼務。博士(人間科学)。専門は防災心理学。著書に「被災地デイズ」、「巨大災害のリスク・コミュニケーション」など。開発した防災教材や訓練手法に「クロスロード」、「個別避難訓練タイムトライアル」など