【東電OL殺人事件】“冤罪で15年服役”ゴビンダさんは「補償金6800万円」を使い切っていた 「仕事はしていない」「日本政府にサポートしてほしい」
「仕事はしていない」
慎ましい生活へと転じたその背景に、母国の不景気もあるという。 「コロナ禍の後、ネパールは経済的に状況が悪くなっています。物価も高くなって、外国に出稼ぎに行く人も増えました」 もともとは自身も出稼ぎでの来日。で、帰国後は、 「仕事はしてないです。いまの家がある住宅街で、庭造りや木を植えたりするボランティア活動をしたりしていました。この年で定年になってるみたいな感じでヒマです。稼ぎがいいと聞き、土地転がしもやってみました。でも、うまくいきませんでした。仕事や商売をしようと思っても、できてないです」 なるほど、お金が消えるはずである。
「日本政府にサポートしてほしい」
「刑務所での15年を含め、日本に18年間もいました。ネパールに戻ってきた後、すぐ自分が年寄りになった感じです。いま、ちゃんと仕事ができてないのも、普通の生活をしながら勉強していくことができなかったのが原因だと思います」 不満は日本政府に向く。 「人生の一番大事な期間を失ってしまいました。手にした補償金だけでは私が失ったものを賠償できてないと思ってます。私の将来のことまでは考えていなかったのではないかとも。仕事がなく、生活にも影響しているので、日本政府にサポートしてほしいです」 さらに、こうも言う。 「日本のマスコミ、ネパールのマスコミ、いまではまったく取材に来ません。支援者の方の招待で17年に一度、夫婦で日本に行きましたけれど、それ以降は行ってないです」 真犯人が捕まっていない東電OL殺人事件。ゴビンダさんの人生に残された問題もまた、未解決だった。
「週刊新潮」2025年1月2・9日号 掲載
新潮社