「教室では一番前に座ります」…3児の母でロッカー相川七瀬「45歳で國學院大學に入学」驚きの事情
大学院にも行こうと思っています!
「家庭教師は3人。早稲田大学の現役生にお願いして、苦手な数学を克服し、高卒認定を取得しました。合格通知を見た瞬間のことは、今も鮮明に覚えています」 【ロックで鍛え上げられた美スタイル】すごい!現役ロッカーにして現役大学生の相川七瀬の美スタイル! そう合否の瞬間を振り返るのは歌手の相川七瀬(48)だ。’95年、『夢見る少女じゃいられない』でデビューを果たすと、翌年に発売されたアルバム『Red』は売上総数200万枚を超える大ヒット。その後も『恋心』や『トラブルメイカー』など多くのヒット曲を生み出した。 そんな彼女が、次なる挑戦として選んだのが″学業″だった。 「20代の頃から高卒認定を取得したいという思いはあって、それは30代になっても40代になっても変わらなかった。でもきっかけとか、タイミングとか、勇気とか……いつも何か一つが欠けていて、ずっと踏み出せずにいたんです」 相川を後押ししたのは、12年前にライブで訪れた対馬(長崎県)で出会った古代米『赤米』の存在だった。1000年以上の歴史を誇り、神事の際に使用されるなど国の無形民俗文化財にも指定されている。その一方で、生産者は国内に一人という深刻な後継者不足に悩んでいた。 「赤米神事の現場を見て、もっと良い発展の方法があるのではないかと感じました。少しでも役に立ちたいと思う反面、知識が足りないと気付き、『まずは大学で基礎を学ばなければ』と思い高卒認定を取得し、大学進学を決意したんです。本当は高卒認定を取らなくても進学できる大学はたくさんありますが、性格的に後悔するのが嫌で……。プロセスを踏みたくて、一からスタートを切りました」 歌手活動に専念するため、高校を中退した相川にとって参考書と向き合うのは実に30年ぶり。学業との再会は、簡単なものではなかったと振り返る。 「高卒認定試験は独学では限界があるので、家庭教師をお願いしたんです。とくに三角比には苦しめられましたね。だってサイン、コサイン、タンジェントって今まで生きてきて使ったことあります?(笑) 先生に数式の成り立ちから解説してもらい、根気強く勉強しました」 プライベートでは3人の子を持つ母でもある相川。いざ勉強を始めるとこれまで見えていた景色が一変したという。 「本当に子供は大変だなと実感しました。何回もテストが出されて、おまけに小テストまである。長男や次男と『なんで人間って前もってコツコツできないんだろうね』と慰め合っています(笑)」 ◆45歳の初キャンパスライフ ’18年に高卒認定試験に合格。神事と地域のつながりを学ぶため、約2年に及ぶ受験勉強を経て、’20年に45歳で國學院大學神道文化学部に入学。 「入学当初はコロナ禍でオンライン授業が多かったので、画面越しに自分から声をかけないと友達もできない。せっかく入学したのにもったいないと思い、同期の子たちに『ライン交換しない?』と声をかけました。 今でもグループラインを作って情報交換をしています。後になって、実は『相川七瀬がいた』と同期の中でも話題になっていたと知りましたね。とくに、彼らの親御さんたちが『相川さんと同じクラスだったりしないのか?』って聞いてきたそうです(笑)」 対面授業が再開されると、学びの欲は一気に爆発した。 「教室では常に一番前に座ります。ライブで例えたら、最前列はアリーナの特等席! 自分へのプレッシャーの意味でも、ゼミの発表は基本的に1番手を希望します。印象的だった授業は、農学者の渋沢寿一先生の民俗学的視点で環境問題を語る『神道と環境』ですね。講義を聞いたときは、授業が心に響いてノートをとりながら泣いたこともありました」 並々ならぬ努力の結果、気が付けば令和3年度の成績は、200名いる学部内でトップ。表彰される機会にまで恵まれた。 「最初は『1/200』という数字を見て、自分の成績が『1点』だと勘違いしました。慌てて教務課に行くと、『それは点数じゃなくて順位です』って返されて……。信じられない気持ちが大きかったですね」 現役大学生とアーティストの二足の草鞋(わらじ)を履く相川は、11月8日にニューアルバム『ROCK MONSTER』をリリース。発売を記念して、同日にはライブも開催予定だ。大学進学を通して、自身の音楽に起きた”変化”も教えてくれた。 「1月に発売したアルバム『中今』や収録曲『永遠の糸』はまさに大学で学んだことが表現されている気がします。相川七瀬と言えばロックなイメージだと思いますが、こちらは静かな曲調。古くから大切にされている″日本語″に隠された力強いメッセージが伝われば嬉しいです」 来春からは大学院に進学予定。かつて歌手になることを夢見た少女は、新たな夢に向かって今も走り続ける――。 『FRIDAY』2023年11月10・17日号より
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