大林宣彦監督の「ふるさと映画」の起源ともいえる名作「廃市」が上映
大林宣彦監督の一連の「ふるさと映画」の起源とも考えられる映画「廃市」(1983年)が上映される。2000年代から故郷・尾道以外の全国各地で、大林監督が撮った地域性の強い「ふるさと映画」の世界の芽生えが感じられる名作を鑑賞する貴重な機会となる。国立映画アーカイブ(東京都中央区)の「日本の女性映画人(2)―1970~80年代」のなかで上映され、上映は2月7日、10日の2回。 大林監督の自主映画「絵の中の少女」(1958年)に出演した大林恭子さんは、「転校生」(1982年)以降は製作者としても協働。「時をかける少女」(1983年)の大ヒット後に、一転して小規模作品作りに取り組み、大林監督と長年温めていた福永武彦の小説映画化を実現した。 ロケは、美しい水路がたくさんある福岡県柳川市で行われ、サオを使って舟をこぐ叙情的なシーンもでてくる。水路の町への旅心が誘われる。 大林監督は1982年、郷愁の思いを込めて故郷・尾道を舞台とした「転校生」を世に出した。その後、尾道で「時をかける少女」、「さびしんぼう」を撮り、大人気を博した。2000年代に入ると、いったん尾道を離れ、尾道以外の大分県、新潟県、北海道、佐賀県などで地域性の強い「ふるさと映画」を作った。