「何も4月の開幕にピークにもっていく必要はないからな」なぜ阪神の岡田監督はオープン戦10試合目にしての初勝利にも不機嫌モードになりかけたのか?
村上自身もテーマをクリアできたことに手応えを感じていた。 岡田監督は「まだわからへん。そんなん何にも決めてないやん」と言うが、6連戦の初戦となる「火曜日の男」に最も信頼のおけるエースを置きたいというのが岡田理論。村上は、4月2日の横浜DeNA(京セラドーム大阪)の先発が最有力となっている。 また打線も春眠から目覚めつつある。 ロッテ先発の巨人から移籍2年目の左腕メルセデスは、左打者の内角をどんどん攻めてきたが、3回二死二塁から近本が右中間を破るタイムリー三塁打で先制した。6回に同点に追いつかれたが、7回にピートローズ型バットを辞めた先頭の森下翔太が3番手の田中晴成から左中間を破る二塁打で出塁。続くミエセスのレフトを襲う強烈な打球をジャンピングキャッチを試みた石川慎吾がグラブに当てながら捕球できず(記録はヒット)勝ち越すと近本に2本目のタイムリーも飛び出して3-1とした。 さらに8回に二死から追加点を奪い、9回には、まだ調整段階で細かいコントロールの定まらないロッテ“守護神”益田直也を攻めて二死から途中出場の前川右京が技ありのレフト前ヒット、大山悠輔が四球でつなぎ、満塁とすると15打席ヒットのなかった佐藤が甘く入ってきたシンカーをつまりながらセンター前へ返してダメ押しの2点を追加した。佐藤はこの日が25歳の誕生日だった。 岡田監督は「佐藤のタイムリー?まあ別に。代えようかなと思ってたけど。開幕?いやわからへんで」と、謎解きのような言葉で佐藤を評した。 佐藤はオフに飛び込んだ米国「ドライブライン」でチェックしてもらった新打法でキャンプ、オープン戦と臨んでいるが、まだ岡田監督の信頼を勝ち取るまでには至っていない。グリップを下げ、スイングは波を打たなくなったが、ほぼテイクバックのない、あのタイミングの取り方で公式戦になれば間違いなく厳しくなる配球にどう対応できるのか。2回の第1打席には左腕のメルセデスのスライダーに対して、窮屈なタイミングでセカンドゴロに打ち取られていた。 明日15日から、バンテリン、ペイペイ、京セラと天候を気にしなくてすむドームで残り8試合。本番想定での攻撃のサインも入ってくる。球団史上初の連覇に向けての2024年の虎の形が見えてくるだろう。だが、岡田監督に焦りはない。繰り返すが「4月の開幕にピークにもっていく必要はない」のである。 (文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)
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