女子ケイリンで金メダルを獲得した佐藤水菜

　【バレラップ（デンマーク）八手亦和人】自転車トラック種目の世界選手権最終日が２０日、当地で行われ、女子ケイリンの佐藤水菜（２５）＝日本競輪選手会＝が金メダルを獲得。日本女子では初の短距離種目の金メダリストとなった。佐藤はスプリントの銅に続く今大会２つ目のメダル。同じく決勝に進出した梅川風子（３３）＝日本競輪選手会＝は５位だった。 　再び歴史に名前を刻んだ。佐藤が日本の女子選手として初めてスプリントのメダルを獲得したのが２日前。今度は日本発祥のケイリンで優勝を果たし、女子初の世界選手権短距離の金メダルという偉業を成し遂げた。 　「表彰台ではずっと隣で（優勝者が着る）アルカンシェルを見てきたので、いつか自分が着たいと思っていた。袖を通すことができて本当にうれしい。日本が誇るケイリンで金が取れたのは誇らしく思う」。２１、２２年はケイリン銀。今回のスプリントは銅。アルカンシェルを身に着けて無数のカメラのフラッシュを浴びるとほほ笑んでみせた。 　勝利に必要な運があった。１回戦２位、準々決勝３位と危なげなく勝ち上がったが、準決勝は仕掛け切れずに苦しい外並走が続く展開。写真判定によるぎりぎりの３位で決勝に駒を進めることができた。 　そして６番手からのスタートだった決勝は、前にいたスプリント覇者のエマ・フィヌケン（英国）が仕掛けてくれる絶好の展開。勢いをもらった上で鮮やかにまくり追い込んでみせた。「エマ選手は強い選手で自分から動くタイプ。動いたその上を私が行くのがコーチとの作戦だった」。ズバリと決まった。 　ただ、手放しで優勝を喜ぶ姿はない。パリ五輪直後の大会とあって、五輪２冠のアンドルーズ（ニュージーランド）ら主力級が不在。それだけに勝利という高いノルマを自らに課していた。「今回は主力のいない世界選手権だから勝つのは本当に大事で、勝ちたいという気持ちだけで走った。自分のコンディションも不安はあったが、やるべきことをやれたと思う」 　時折、険しい表情も見せた新世界女王。今後の進路についても４年後のロサンゼルス五輪を目指す競技か、ガールズケイリンか、まだ結論には至っていない。「競技をやるのであれば経験が必要で専念しなければいけない。この後のオフ期間に考えます」。アルカンシェルが導く答えは一つしかないはずだが…。