島谷ひとみ「気づきの40代」で見つけた大切な軸 30代後半で音楽活動を一時休止、事務所も出て再出発
20代は歌を軸にしながら、本当に多くの出会いをいただいたなと思っています。わからないこともたくさんある中で大人が引っ張ってくれた。「こうやりなさい」と言ってくれた。バタバタとなかなか追いつかないこともありながら、必死に追いかけていく。そんな時代だったなと考えています。 30代になると、それが変わったというか、自分の足で歩くことを求められた。そんな感覚があるんです。もちろん自分の足で、意志で進むことは大切だし、それこそが本来の形なのだとも思うんですけど、自分の中でいきなりそのステージが始まったという感じもあったんだと思います。
■スタッフも年下が増えてきて 年下のスタッフさんも増えてきて、今までは周りの大人が手を引っ張ってくれている方向に行けば“島谷ひとみ”が成立する状態だったのが、もう自分自身がアーティスト“島谷ひとみ”を一番知っている存在になっていた。 20代から30代になって求められることや環境が変わる。これって、すごく当たり前というか、どんな仕事でも普通にあることだと思うんですけど、私はそこですごく考えたんです。
とにかく自分がしっかりしなきゃいけない。自分の人生だけでなく、周りの方の人生にも自分がしっかりしないと影響を及ぼしてしまう。そこがさらに進んで、自分が凝り固まっていく。そういう状況が続いて、30代後半になった時に音楽活動もいったんストップすることになりました。 私は歌うために東京に来たはずなのに、今の自分はそこと思い切りかけ離れてしまっている。それがまた次の悩みにもなっていく。そんな渦に入ってしまいました。
人生も折り返し地点に立った時にこう今一度自分で一回リセットボタンを押して自分が本当にどれぐらいの歌を歌っていきたいのかとかを問い直すという気持ちになったんです。 ■母の病気で自分のことも見つめ直した そして、どういう流れなのか、その時期に母が病気をしたんです。地元に戻る頻度も増えました。親との時間、自分自身の時間、そして歌手としての時間。いろいろなことを否応なく考えるようになって、今一度、思いを精査することになりました。本当に、本当に、自分の中で何が大切なのか。優先順位をつけていくことで、やっぱり自分は歌を歌いたい。そう思ったんです。