釣り道具としての自転車!? 瀬戸内自転車エギング旅
生口島をライド&フィッシュ!
明けて2日目。この日はしまなみ海道を尾道側から数えて3番目の島にあたる生口島を巡る。周囲に島が多く、潮通しの良さそうなポイントを重点的に探る作戦だ。 それにしても、湯川さんと海野教授のイカ談義は尽きることがない。昨日の釣り場でも、昨夜のささやかな宴席でも、そして今日の釣り場でも。 「そこに見えてる新子だけど、体色が黄色→黒→黄色と一瞬で変わったね」 「なんか(フィッシュイーター)おるのかもしれませんね」。 常に水中の変化を見逃さない2人だ。 この日最初のヒットは、海野教授。少しサイズアップしたと思ったら、上がってきたのはモンゴウイカ。幸先のよい出だしだ。 潮通しのよいこのポイントではアオリイカの反応を得られなかったが、何かひらめいた様子の湯川さん。ジョイントミノーに結び変えてロングキャスト。流れの中を通していく。すると、 「食った! たぶんシーバス! 」。 と渾身のフッキングが決まった。今日はイカのサイズが小さいこと、シャクリの疲労軽減のためにロッドを軽量なソアレにしてきた湯川さん。竿は弓なりにいい曲がりをしている。しばらくのファイトの後で上がってきたのはなんとマダイ! 岸からこのサイズが釣れるとは。 エギングでイカをメインに狙いつつも、ミノーやジグといったライトルアーを楽しめるのがこの釣りの面白いところ。荷物を多くしたくない自転車での釣行とエギングは好相性といえる。
釣りと自転車と旅情と
「何を釣ってるんですか~? 」。 自転車を置いて釣りをしている我々を見て、地元の婦人が声をかけてきた。自転車で釣りなんて、少年ならいざ知れずいい大人がやっているのだから気になるのだろう。釣れたばかりのマダイを見せると歓声を上げた。ご婦人、なんでも近所で宿泊施設をされているとのこと。 「マダイ、要ります? 」と湯川さんが伝えると、 「ええ嬉しい! ちょっと待っていてください」といって姿を消した。 そして戻って来ると、冷えた地元のレモンジュース「レモンC」を取材班一行分、差し入れてくれたのだった。なんという物々交換。朝から夢中で釣りをしていた我々は、地のもの(生口島の瀬戸田エリアはレモンで有名)で喉を潤すという僥倖にあずかったのだった。 これも自転車の旅だからこその味わい。島旅の良さでもある。