満月の夜のサンゴの一斉産卵──辺野古に息づく生物たちの記録を写真で紹介
水中写真家・中村卓哉の新作写真集『辺野古ー海と森がつなぐ命』が10日に発売された。同書の一部を紹介した写真展は10月1日まで、ニコンプラザ新宿 THE GALLERY 1+2(西新宿1丁目6-1)で開催されている。 「満月の夜のサンゴの一斉産卵」や「イソギンチャクに覆われた『クマノミ城』」、「干潟に群れるミナミコメツキガニ」など、美しく豊かな自然の中で紡がれる生命の営みがとても神秘的だ。
沖縄本島東海岸北部に位置する辺野古は今まさに米軍基地建設のため、海の埋め立て工事が始められようとしている。中村は10歳のときに沖縄・慶良間諸島でのダイビングをきっかけに海中の世界に魅せられ「埋め立て予定地となっている海の中にも必至に生きている命があるはずだ」と、辺野古に通い始めたという。
ここには3000年もの歳月をかけてできたサンゴの大群落があり、5000種類を超える生き物が棲んでいる。この生物多様性の海を育てているのは、広大な「やんばるの森」とそこから栄養分を運ぶ清流だ。中村は山と海をつなぐ命のめぐりをライフワークとして17年間同地に通いつめている。森から河口に広がるマングローブと干潟、浅瀬の海、奇跡のサンゴ礁など、自然とそこに息づく生物たちの記録している。
写真展は入場無料で、9月17日と22日は午後2時からトークイベントとサイン会がある。
■中村 卓哉(なかむら たくや)プロフィール 1975 年東京生まれ。10 歳のときに沖縄の慶良間諸島でダイビングを体験、海中の世界に魅せられ、水中写真家となる。国内各地の海に加え、パプアニューギニアの海も撮影。海のありのままの状態を記録し、海と陸、そして人間が結びついた環境を写真で伝えたいと作品を発表、執筆、テレビ・ラジオ出演、講演活動も行う。著書に『わすれたくない海のこと 辺野古・大浦湾の山|川|海』( 偕成社)、『海の辞典』( 雷鳥社) などがある。9月10日に発売された最新写真集『辺野古-海と森がつなぐ命』(判型・造本:B5 判/並製/ 192 頁/写真点数約200 点/オールカラー、2315 円+税)9月中旬発売。パプアニューギニアダイビングアンバサダー、日本写真家協会会員。