朝ドラのタイトルにも重なる“ブギウギ”

　朝ドラの影響でも今ホットワードな“ブギウギ”。左手で8分音符のベースラインを弾きながら右手でメロディーを奏でていく、1920年代頃に作られたブルースピアノの奏法であり、一瞬で2つのこと（位置替え対象）を考え続けなければいけない術式に冠されるに相応しい名前だ。そして同時にいくつものことをこなしていく東堂のIQの高さの表れにもなっている。第44話でリッチなカラーパレット、繊細な線画と高速度で描かれた「ブギウギ」の戦闘シーンには完全に心踊らされてしまった。何より、大事な人を目の前で失い続けた今の虎杖にとって（そして暗い展開ばかりを観続けた視聴者にとって）、粗暴だが自信家な東堂の精神力に助けられている点が大きい。 　冒頭で“オールマイトのように”と述べたが、実際に真人に対して「黒閃」を決めたシーンの演出はほぼ完全に『ヒロアカ』のオールマイトのそれで、アニメーター陣も東堂なら（画面が）派手であればあるほど良いという判断で楽しく制作していたことが、SNSの投稿からうかがえた。ついに地下から地上へ。変わり果てた渋谷は109の前で、東堂の協力を仰ぎながら虎杖と真人、最後の呪い合いが始まる。