日本が誇るスポーツセダンP10プリメーラよもう一度! 欧州車を超えたハンドリングのいいセダンはもう生まれないのか?
セダン離れが進み、猫も杓子もSUVという時代だが、今こんなセダンがあったらいいのにな……という、クルマがある。1990年2月に日本および欧州で販売されたP10プリメーラである。なぜ、P10プリメーラのようなコンパクトでスポーティなセダンがもう生まれないのだろうか? 【画像ギャラリー】日本が誇るスポーツセダンのP10プリメーラよもう一度!欧州車を超えたハンドリングのいいセダンはもう生まれないのか?(5枚) 文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカー、日産自動車
■欧州車を超えたハンドリングと使い勝手のいいパッケージング
日産が最も輝いていた時代に作られたFFスポーティセダン、初代プリメーラ。当時日産は、1990年までに技術世界一を目指すという「901運動」を展開していた。 開発当初から、欧州市場へ投入することからスタイリング、動的性能、実用性、パッケージングなど、すべての面で欧州車を意識しており、901運動で生まれた、前輪マルチリンクサスペンションを採用した。 フロント/マルチリンク、リア/パラレルリンクストラットの組み合わせにより、操安性と乗り心地の両立が図られ、特にハンドリングは欧州車を超えたと、当時のモータージャーナリストや自動車雑誌では高く評価された。 一般的には、実用を重視すればするほどスポーティさは薄れがちだがプリメーラは違う。実用的な乗り心地と、スポーツカーにも勝るハンドリングを手に入れた。高いコーナリング性能を持ち、それでいてしなやかなフットワークを持っていた。 ボディサイズは全長4400×全幅1695×全高1385mm。ホイールベースは2550mmと可能な限り室内空間を広く取ろうとした機能的なパッケージング。コンパクトな車体ながら室内は当時のクラス最大級の広さを誇るもので、スタイリングも居住性と空力性能をバランスよく両立させ、車両のパッケージングのよさを直接訴求した「プリメーラ・パッケージ」のキャッチコピーも話題になった。 エンジンは110ps、1.8L、直4のSR18DE型と150ps、2L、直4のSR20DE型を搭載。1991年10月には英国製の5ドアハッチバックの2.0eGTを追加設定。当時としては長い約5年半のモデルライフだった。 筆者は5ドアのSR20DEの5速MTや5ドアの2.0eGTの走りはいまだに忘れられない。当時としてはステアリングは重かったが路面からのステアリングインフォメーションはよく伝わってきて、箱根ターンパイクのコーナリングは実に楽しかった。 ただし、乗り心地に関しては、首都高や都内の一般道では少々硬すぎかなという印象。このあたりは欧州車テイストなのだが、当時、ベンツ190Eや丸みを帯びたアウディ80、オペルベクトラなど、高く評価されていた欧州車と比べても、ようやく追いついたと評されたことは感慨深いものがあり、誇らしかったのを覚えている。 今、P10プリメーラのような、コンパクトな5ナンバーサイズの取り回しがよく、ハンドリングがいい5速MT車のセダンがあったら、いいのにと思ってしまったのは私だけだろうか。