京葉線の幕張豊砂以外も「イオン前駅」増殖の背景 「ショッピングモールは車で行くところ」の常識を覆す
地方の鉄道利用者が減少を続けている理由の1つに、郊外型ショッピングセンターの相次ぐ出店と、その影響を受けた駅前商店街の衰退があろう。 【写真を見る】イオンモールの近くにある駅。京葉線の幕張豊砂駅のほかには?クルマでなくてもアクセスしやすい ショッピングセンターが郊外を目指した理由は理解できる。広大な土地が安価に手に入るからだ。しかもマイカーの普及で、鉄道やバスが走っていなくても、多くの人が行けるようになった。 ■ショッピングセンター前に新駅 国が対策をしてこなかったわけではなく、1970年代には大店法(大規模小売店舗法)が施行されたが、1990年代に入るとアメリカから規制緩和を要請されたこともあって規制が弱められた。
その後この法律は2000年に、大規模小売店舗立地法に移行したが、規制はむしろ弱められており、郊外への出店がさらに加速した。ただしまもなく改正都市計画法が施行され、郊外への大規模集客施設の出店規制が強化された。 これが関係しているのか、最近は都市部の駅の近くのショッピングセンターが増えており、新たに駅を設けるという動きもある。とりわけ業界トップのイオングループで、こうした動きが目立つ。 たとえば首都圏のJR東日本の駅で最も新しい千葉市の京葉線幕張豊砂駅(2023年3月18日開業)は、この地に以前からイオンモール幕張新都心を展開していたイオンモールと千葉県、千葉市が協議会を作り、JR東日本に新駅の設置を要請した。
建設費用の半分をイオンモールが負担し、残りを千葉県と千葉市、JR東日本が3分の1ずつ負担したという請願駅である。 イオンモールはマイカーでの来店を基本としてきたが、近年は各地で渋滞による苦情が出されてきており、選挙や議会の争点になることさえ出てきた。 しかもイオンモールは、イオングループ内ではデベロッパー企業に位置づけられており、自治体や住民との連携・協力を重視し、必要に応じて道路整備や環境保全対応などを計画に盛り込むとしている。