解体前の木造建物が「晴れ舞台」に 南海トラフ想定の穴あけ救助訓練
南海トラフ地震など建物が倒壊するような大規模災害を想定し、兵庫県姫路市消防局は19日、市内にある神姫バス(同市)の解体前の研修センターを使って、消火・救助訓練をした。 【写真】神姫バスの研修センターの講堂の壊した屋根から負傷者の救助訓練をする姫路市消防局の若手職員ら=2024年10月19日、兵庫県姫路市御国野町国分寺、雨宮徹撮影 雨の中、訓練には若手を中心に約30人の職員が参加した。研修センターには二つの木造の建物があり、平屋建ての講堂では、倒壊した建物からの救助を想定。屋根の上に登ってエンジンカッターで屋根材の一部を切断し、室内に取り残された負傷者に見立てた人形をストレッチャーで搬出した。隣の2階建ての建物では、室内に置かれた的をめがけて放水するなどの訓練をした。 市消防局によると、解体前の建物を使った訓練は、コンクリート造りの公共施設を使う場合が多いという。だが実際の災害では木造建物が被害に遭うケースも多く、民間の協力で解体前の木造の建物を利用できる機会は非常に珍しいという。 救助訓練に参加した中播消防署(福崎町)の消防副士長、難波蓮さん(24)は「木造の建物で破壊を伴う救助訓練をしたことはなく、大きな経験になった。南海トラフ地震などでこの経験を生かしたい」と話した。 神姫バスで安全教育課長をしている柴田重盛さん(57)は、「研修センターは、社員なら誰でも一度は来たことのある場所。単に解体されるだけではなく、こうして最後の晴れ舞台として建物を活用してもらい、ありがたく思う」と話した。(雨宮徹)
朝日新聞社