「おねだり、キックバック…」疑惑だらけ兵庫県・斎藤知事“辞職せず”のウラに「法的根拠と選挙事情」
「これから1年間、日々の仕事をしっかり着実にやっていくのが私の責任の果たし方だ」 現在、集中砲火にあっている兵庫県の斎藤元彦知事が7月26日、県庁で報道各社のインタビューに応じ冒頭のように“辞職するつもりはない”旨を改めて宣言。来年7月末まで任期を全うするとした。 【写真あり】内部告発で右往左往…拡散された斎藤知事の「おねだり」「パワハラ」疑惑文書の”中身” 元幹部職員は「死をもって抗議する」として、知事の“おねだり”、パワハラ、金融機関からのキックバックなど“7つの疑惑”に対する告発文書を遺した。さらに実際に“おねだり”している音声まで報道各社に送付していた。 「ワインちょっとまだ私、飲んでいないのでぜひまた……この間、イチゴはじゃこは塩はあれですけど、またあの……折を見てよろしくお願いします」(’22年11月) これを言われた兵庫・上郡町の梅田修作町長は 「おねだりとは感じ取っていませんでしたが、やっぱり知事が公の会議の場で発言されたことは非常に重いんだと思います」 と話し、梅田町長自身も以前から特産品のワインを渡したいと思っていたため、“折を見てお願いします”と言われた翌週に赤ワイン2本を持参しているのだ。 しかも斎藤知事はワインを自宅で飲んだことは認めているが、PRをしていないことも認めている。 「私が魅力を知ることが重要だ」 と24日の定例会見で話している。他の県産品も受け取っているというが、PRはしていない。 世間にPRもしないなら、知事が県内から物品を献上させているだけにも見える。これは法的に問題にはならないのだろうか。『森實法律事務所』森實健太弁護士に聞いた。 「県産品などが『賄賂』に該当するかが焦点です。今回のように“社交儀礼の範囲で物品を受け取った”とすれば相手との関係性や金額にもよりますが、賄賂に該当しないものとして収賄罪が否定される可能性があります。 また仮に賄賂に該当したとしても、『職務行為に対する不正な対価であるという認識』が必要です。仮に知事が県産品を“社交儀礼の範囲”という認識であったり、“不正な対価ではないという認識”であったりすれば、やはり収賄罪は否定される可能性があります」 では元局長の告発文書にあったキックバック疑惑の件はどうだろう。書かれてあった内容は 「昨年11月の阪神とオリックスの優勝祝賀パレードの費用をねん出するため県が信用金庫に補助金を増額しそれをキックバックで寄付させた。パレードを担当した課長はこの一連の不正行為と大阪府との難しい調整に現在、病気休暇中」 という旨だった、この元課長は告発文が作成された1ヵ月後、今年4月に自死している。 斎藤知事はキックバックを指示したことを否定している。前出の森實弁護士は 「知事は否定していますが、仮にキックバックさせた行為があったとしても、知事が何らかの刑事責任を問われることは考え難いです。しかし補助金の目的外使用として調査内容によっては、住民監査請求や住民訴訟といった責任追及の方法は考えられます」 刑事責任の可能性は低いというが短期間に知事の周りで職員が2人自死を選んだことは異常と言っても過言ではない。胸を張って“任期まで職務を全うする”と言える図太さはどこから来るのだろう。 「告発文や音声がマスコミに渡り報道されたときは正直焦っているように見えましたが、知事も周りの法曹関係者に“罪にはならない”とお墨付きをもらっている可能性はあります。分かっているからこそ辞職しないのでしょう。 推薦した維新の吉村知事も弁護士ですからね。吉村知事は『百条委には事実を明らかにしてほしい』と話すのみで“辞職するべき”とは一度も言っていない。万が一、斎藤知事が辞職した場合、次回の知事選に維新は負ける可能性が高い。何としても持ちこたえさせ、ほとぼりが冷めるのを待つ必要があるのでしょう」(在阪テレビ局報道記者) 疑惑の証明は現状の証拠だけでは不十分なのか。斎藤知事は法的責任を免れたうえ道義的責任すらも取るつもりはないようだ――。
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