【秋華賞】桜花賞馬VSオークス馬 三冠目を手にしさらなる高みを目指すのは?/長岡一也
【長岡一也=コラム「競馬白書」】 ◆桜花賞馬ステレンボッシュに期待 3年ぶりに桜花賞馬とオークス馬が揃って出走する秋華賞は、3歳限定だったエリザベス女王杯を含めて、これまで両GI馬の対決が20回もあった。そして、14対6で圧倒的に桜花賞馬の方が先着したケースが多い。 【写真】ステレンボッシュのこれまでの軌跡 これは、今年の桜花賞馬ステレンボッシュ対オークス馬チェルヴィニアを考えるときにひとつのポイントになりそうだ。両馬の対戦はこれまで2度あり、1勝1敗の5分。今度が3度目となる。 ステレンボッシュは、桜花賞を勝って春二冠を目指したが、オークスでは内々の動きにくい位置で苦しみ、4コーナーでは後方まで一旦下がって、そこから馬群の内をさばいて直線半ばでは先頭に立つところがあったが、外から鋭く差してきたチェルヴィニアに半馬身差で惜敗していた。 それでも、スタートしてすぐに右トモの落鉄があり、最後までしっかり走り抜いた精神力は、評価に値すると言っていいだろう。これまで6戦して3勝2着3回、連を外したことはない。 京都内回り2000米はレースセンスがもとめられるが、不器用な馬ではないし、父エピファネイアから考えると中長距離向きと捉えてもいいくらいだ。ステレンボッシュには、さらなる高みを目指してもいいとさえ感じている。 つけ加えれば、3回の2着の中にはオークスの他に、暮れの阪神JFも含まれている。このときクビ差及ばなかったアスコリピチェーノには桜花賞で4分の3馬身差をつけて雪辱していた。今度は、オークスで半馬身遅れを取ったチェルヴィニアに、どう仕返しをするか、そう考えてもいいと思っている。 一方のオークス馬チェルヴィニアだが、その中味を検証してみたい。 オークスは、勝ちタイムが2分24秒0と速かったが、前半の1000米が57秒7とこの10年でもっとも速いペースだった。それでいて、中盤から後半の上がりが平均より遅いという珍しいタイム構成となっている。後半の1000米が61秒4だったから、前後半の差は3秒7もあるという、このレースの流れをどう読み取ったらいいのか迷わされるところだ。 勝ちタイムの2分24秒0は速いといってもこの10年で5番目で、これを上回った勝ち馬は、アーモンドアイ、ラヴズオンリーユー、スターズオンアース、リバティアイランドと2頭の三冠馬を含む名牝ばかり。ちなみにアーモンドアイの勝ちタイムは2分23秒8だったから、今年の評価は下げることはないだろう。 チェルヴィニアは、オークスでは中団から外をついて鋭く差し切ったが、小回りでもある程度の位置は取れるので大丈夫だと思う。だが、フットワークが雄大なだけに京都の内回りは走りにくいのではないかと危惧している。 桜花賞大敗については、かつて二冠牝馬メイショウマンボの桜花賞10着からの変身があったことだし、これは問題にはしていないが。今年の秋華賞は、この2頭の一騎打ちと考えたい。 「この先の さらなる高み 夢でない」