希望届ける復興ソング制作 富山の「カミカ.」さん、県内で支援ライブも開く
富山市のシンガー・ソングライター「カミカ.」さんは、能登半島地震の復興支援ソング「鈴生(すずなり)」を作った。震災直後に氷見市でボランティア活動を行い、被害を受けたまちの様子や被災した人たちと話す中で感じたことを率直に表現。復興支援ライブも開催しており「音楽を通して、生きる希望を失っている人の助けになりたい」と話す。 カミカさんは4人の子どもを育てる母。結婚を機に看護師を辞め、10年以上専業主婦だった。「このまま育児や家事だけをするのは寂しい」と思い、2020年冬にエレキギターと電子オルガン、作曲を一から習い始めた。弾き語り動画を交流サイト(SNS)に投稿し、23年5月からはライブを開くようになった。 復興支援ソングを作ろうと決めたのは震災の1週間後。被災地の状況を知った上で曲を作りたいと、すぐに氷見市の給水所でボランティアを行った。以前住んでいた高岡市吉久も訪れ、液状化現象の被害を見た。
曲名の「鈴生」は、果実が連なって木に実っている様子を表す言葉。「復興に向けて多くの人が集まって助け合っている」との意味で名付けた。曲はロック調で、液状化により家や電柱が傾いたり沈んだりしている情景から始まり、終盤は「またね またね あした」というフレーズを繰り返す。「苦しくても道はいつか必ず開けるから生きていこう」との思いを込めた。 カミカさんは10年前、引きこもりがちで人と会えない精神状態になった。音楽を通して自身の気持ちを表現することで人との関わりが増え、徐々に前向きになれたという。「自分を救ってくれた音楽で社会貢献したい」と思うようになり、今回の制作につながった。 曲は2月に完成。3、4月には県内で復興支援ライブを開き、売り上げを寄付した。カミカさんは「機会があれば能登でボランティアをして、歌を直接届けたい」と話している。曲は音楽配信サービスや動画投稿サイト「ユーチューブ」などで聴くことができる。