豪カフェ文化発祥の地メルボルン。バリスタ、店の内装、客……こだわり熱い
初めてオーストラリアに行ったのは今から12年前。シドニーを中心に回った撮影だったので、ここに滞在したのはわずか1日。記憶に残っているのは、波打った屋根が夕日に照らされたサザンクロス駅。移動の慌ただしさから、ほっと一息ついたホテルの窓から見えた風景だ。 英国のエコノミスト誌の調査部門で「世界で最も住みやすい都市」に7年連続で1位に選出されている街、オーストラリアのメルボルン。昨年日本からの直行便も増え、観光でも注目されているという。“世界一住みやすい街”とは一体どんなところなのだろうか。あれから12年、そんなメルボルンの街を再び旅した。
イーストメルボルンの赤レンガ倉庫街にあるカフェ、クリンパー。土曜朝9時の店内には、数名の客がいた。世間話に話を弾ませる婦人が二人、スマホに見入っている女の子、新聞を眺めるおじいさん、パソコンのキーボードを打つ学生らしき男子。それぞれの休日をお気に入りのカフェで楽しんでいる、そんな様子だ。
特に不思議な光景ではないが、日本ではファストフードやチェーン店、喫茶店など、世代によって客層が分かれてしまうシーンが多いだけに、この街に根付いたカフェ文化の一端を感じる。
オーストラリアのカフェ発祥の地と言われるメルボルン。多民族が暮らすオーストラリア、特にイタリア系移民によって独自のカフェ文化が広がっていった。街の中心地以外にも多くのカフェが点在している。その多くの店は、内装、インテリアにもこだわっていて人気がある。 メルボルンではコーヒーの展覧会だけでなく、バリスタのチャンピオンシップなども開かれ、街にはバリスタ達が腕を磨くために集うカフェスタンドもあるほど。そのため、メルボルンで暮らす人々のカフェに対する想いは熱い。そんなこだわりは、大手コーヒーチェーン店が店舗を撤退させたほどだとか。(つづく) ※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<世界で最も住みやすい街メルボルンへ>倉谷清文第11回」の一部を抜粋しました。 (2018年3月撮影・文:倉谷清文)