東京女子10・6後楽園で里村明衣子と7年ぶりに激突、山下実優はあの日の絶望をブチ破れるか…?【週刊プロレス】
東京女子10・6後楽園大会にて、団体のエースで現在はプリンセスタッグ王座を保持する山下実優が約7年ぶりに里村明衣子と激突する。カードは渡辺未詩&山下vs里村&中島翔子でシングルマッチではないものの、この一戦に向けて山下は闘志を燃やしまくっていた。 終始、里村が圧倒。山下いわく「完敗」
最初の接点は2017年3月20日にさいたまスーパーアリーナでおこなわれたDDT旗揚げ20周年記念興行。「スーパー女子プロ大戦2017」と名付けられた一戦で6人タッグ(赤井沙希&里村&中島vsアジャコング&チェリー&山下)ながら初めて対戦し、山下は里村に直接敗れることに。それから5カ月後(8・26)、今度は東京女子後楽園の舞台で激突。前回とは違って一騎打ちとなり、リベンジに燃える山下を場内のファンも大きく後押ししたのだが…結果は完敗。里村は高すぎる壁だった。 そしてその7年後、里村が翌年(2025年4月)に引退することを発表したことで山下があらためての対戦をアピール。その熱い思いが成就し、3度目の対戦が実現することになったのだ。 山下 7年前にシングルでボロ負けして、いつか絶対もっと強くなって闘いたいって思ってて。だけど、里村さんが引退ってことで…まずそれが自分の中で衝撃的でした。その引退会見を全部見て、終わってすぐですね。自分は誰かと闘いたいってリクエストしたことはないんですけど、初めて甲田さん(=東京女子プロレス代表)に連絡しましたね。(里村と)闘いたいですって。引退ってことはもう闘えなくなってしまうので、これはいくしかないと思ったし。会見でも「私を倒せるやつは来い」って言ってて、そこも闘いたい理由になったから。ホントに叶ってよかったなって気持ちです。 ――ただ今回はタッグマッチです。本当だったらシングルがよかったのでは? 山下 本音を言えばそうなんですけど…でも、どんな形でもいいって思います。闘えるだけでいいって。未詩が里村さんとやって面白そうじゃないですか。そういう人と組んで試合するのもいいかなって思ったので、ホントに今回の対戦カードの内容…相手もパートナーもすごくいい形で闘えるかなって思ってます。 ――なるほど。7年前のシングルはかなりのターニングポイントになったと思いますが、あらためて振り返っていかがですか? 山下 確実にそうで、里村さんと闘って心も体もボロボロにやられたかんじで。(当時の)会見からもう泣いちゃって…自分が足りないものが多かったっていうのもありますけど、もう人間の器というか存在から負けてたなって。そういうところがあったからこそ、里村さんみたいな絶対的強者というか…誰にも文句を言われない強さの象徴に私もなりたいって思ったんですよ。ただその人を追いかけてもその人にはなれないし、意味はないし。そこは里村さんを追いかけてたわけではないんですけど、自分のやり方で、東京女子っていう場所で絶対的に強い存在になりたいなって思って7年間突っ走ってきた部分はあります。もちろん自分が強くなることに終わりはないので、もっともっと目指していくものはありますけど。いまの自分の強さを信じているので、そこはもう自信を持って里村さんの前に立てると思ってるし、もちろん蹴り倒しにいきたいなって思ってますよ。 ――この7年間での成長をぶつけて直接勝ちたいと。 山下 勝ちたいですね。とはいっても中島もいてタッグなので。シングルではないので、そこはレスラーとしてしっかり自分の気持ちもぶつけていきますけど、ひとつの試合として面白いものをファンの人に見せなきゃいけないっていうのもあるので…対峙した時にどういう闘いをするかっていうのが私的には勝負だと思ってるので。物理的な強さもそうですけど、印象でも存在でもブチ倒したいなと。 ――個人の感情に固執しすぎないと。前回のシングルはスリーパーで敗れていますね。 山下 蹴られて絞められてで…記憶が飛んでレフェリーストップになってるので相当悔しかったですね。目を開けたら負けてるっていう状況だったので。でも負けたこと自体も悔しいですけど、一番悔しかったのは試合中に初めて「あ、勝てないわ」って思っちゃったんですよね。それがすごい自分の中でショックで、そこはホントに里村さんだけです。ちっちゃい時から空手をやってて、そこからプロレスラーになってずっと闘ってますけど…試合の時に「勝てない」って、言ってしまえばあきらめちゃった…っていう、もう絶望ですよね。それが一番悔しかったですね。里村明衣子っていう存在を目の前に、自分自身に負けたというか。なので、ただ負けただけだったら今回は言ってなかった気がしますね。そこがどうしても自分の中に残ってるので…そう思わせてくれる存在がすごいからこそ、この人みたいに絶対的な強さを与えられる存在になりたいっていうか。 ――もちろんファンの方たちも注目している一戦だと思います。 山下 ありがたいですね。そういう雰囲気になってくれたので嬉しいですし、より楽しみになりましたよ。 ――直近の(9・22)幕張でタッグベルトを獲得し、王者として里村選手と対峙することになりました。 山下 そうなんですよ。チームとして未詩と私ってなると、ベルトを持ってるので(団体の)代表って形になると思うんですよね。そこでチームとしても勝たなければいけないって気持ちもあるので…個人としてもそうですけど。そこが難しいところかなって思いますけど、隣には未詩がいますし、勝つ自信は確実にありますし、蹴り倒す自信もありますね。 ――ここで里村選手に同じような悔しさを味わわせることで、引退までの期間で今度はむこうから「もう1回、次はシングルで」となる可能性もなくはないです。 山下 そうなったら面白いですよね。さいたまスーパーアリーナで初めて対戦して、そこから生まれたものでもありますから、後楽園よりも大きい場所で…っていうのもありかなと。里村さんが引退されるまで何が起きるか分からないので、それはそれで未来が広がっていきそうですよね。まぁとにかく私がやらなきゃいけないことは、絶対に里村さんを蹴り倒すっていうことだと思ってるので。じゃないと、ただ試合をするだけじゃ意味ないというか。引退までの期間で忙しいでしょうし、みんな里村さんと闘いたいと思うんですよ。その中で時間を取ってもらったし、お客さんも盛り上がってくれての再戦。何を期待されるかっていったら私が里村さんを倒すことだと思ってるので、そこは絶対にやってやりますよ。とにかくこの7年間で培った思いをぶつけて、そしてあの日の絶望をすべてブチ破って私が里村さんから勝ちます。
週刊プロレス編集部