【全日本卓球】「木造帰ってきたぞというところを見せたい」。後輩・張本に敗れるも、光った木造勇人の速攻
天皇杯・皇后杯 2024年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部) 1月22~28日 東京体育館 大会5日目 ●男子シングルス4回戦 張本智和(智和企画) -10、11、9、2、6 木造勇人(関西卓球アカデミー) 男子シングルス4回戦、木造勇人は世界ランキング10位の張本智和と対戦した。 年齢は木造が4歳年上だが、ともに2016年世界ジュニア選手権ではチームメイトとして戦い、幼い頃から気心の知れたふたり。その世界ジュニアでは張本が史上最年少の13歳で優勝を飾ったが、日本男子チームのエースはインターハイ3冠の木造だった。 それから7年、名実ともに日本のエースとなった張本を、木造は1ゲーム目から果敢に攻めた。「ひと泡吹かせてやろうと、いろいろな選手に言っていた」という木造。ダブルスを組んで全日本のタイトルを取り、現在も練習をともにすることもあり、お互いのプレーは知り尽くしている。 1ゲーム目、中盤のビハインドを跳ね返して奪い、2ゲーム目の9ー10で見せたフォアストレートの連打には意地を感じさせた。2ゲーム目の競り合いを落とし、そこから4ゲームを連取させて敗れたものの、「木造勇人ここにあり」を感じさせる内容だった。 「1ゲーム目はラッキーもあって取ることができて、その流れで2・3ゲーム目も自分のペースでいけたんですけど、向こう(張本)が落ち着いてきて、余裕を持たれると苦しかった」(木造)。張本のプレーをずっと見てきた木造に、張本のプレーの進化について尋ねると「守備力」という答えが返ってきた。 「守備力は断トツに高いですね。日本のトップだとぼくは思います。だから取りこぼしがない。ぼくみたいなノンプレッシャーで向かってくる選手に対して、我慢しながら勝つメンタルの強さもすごいと感じます」(木造) TリーグのT.T彩たまに所属する木造だが、この1年はTリーグでも勝ち星が伸びず、苦しい時期が続く。しかし、今大会は1回戦で坪井勇磨(FPC)との「インハイ3冠対決」を制すると、2回戦では上江洲光志(琉球アスティーダ)に競り勝ち、3回戦では田原彰吾(協和キリン)にストレートで勝利した。 「強い選手と次々当たって勝つことができたので、少し自信になりました。日本の上位に食い込めるように。まだまだ下っ端ですけど(笑)。ハングリー精神を持ちながら這い上がっていきます」と語る木造。「まだまだ下っ端ですけど」と謙遜したが、そんなことはない。彼の復活を望んでいるファンは少なくないはずだ。 「ファンの皆さんに『木造帰ってきたな』と思ってもらえるように頑張っていきたい」。最後にそうコメントしてミックスゾーンを去った木造。プレーヤーとしてのピークは、まだまだこれからだ。