PFFアワード2024の入選作品決定、最終審査員に小田香、仲野太賀、吉田恵輔ら
第46回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)のコンペティション部門・PFFアワード2024入選作品19本が決定。あわせて最終審査員5名が明らかになった。 【画像】第46回ぴあフィルムフェスティバル2024のポスタービジュアル “映画の新しい才能の発見と育成”をテーマに1977年より行われてきたPFFアワードは、これまでに黒沢清、塚本晋也、佐藤信介、李相日、荻上直子、石井裕也、早川千絵、山中瑶子ら180名を超えるプロの映画監督を送り出してきた。今年の応募本数は前年から135本増となる692本となり、16名のセレクション・メンバーによる約4カ月の審査を経て入選作品が決定。最年少14歳を含む18歳以下の監督による3作品が入選を果たしており、監督の平均年齢は昨年の26.1歳から23.1歳に。全体の3分の2が女性監督の作品となった。作品一覧は以下に掲載している。 審査員として、「セノーテ」で第1回大島渚賞を受賞した小田香、作家の小林エリカ、「PERFECT DAYS」の共同脚本・プロデュースを担当した高崎卓馬が参加。さらに俳優の仲野太賀、最新作「ミッシング」が公開中の映画監督・吉田恵輔も名を連ねた。グランプリなど各賞は9月20日に行われる表彰式で発表される予定だ。 なおディレクターの荒木啓子は、入選作品発表にあたって「延べ3日間に渡るセレクション会議では『映画制作映画』の増加が話題になった。アフターコロナを象徴しているのではないかという説には皆頷いた。入選作品の少なからずが、映画制作の映画となったことは偶然ではあるが、『映画制作』というものが象徴する“何か”を観客と共に言語化していきたいと感じている。また、本年は、アニメーション作品の増加も目立った。アニメーションやVFXがあることが当たり前、特別ではない世界を実感している。そして、10代の生み出した作品の、映画への純粋な憧れに、襟を正した」とコメントを寄せている。 第46回ぴあフィルムフェスティバルは9月7日から21日まで東京・国立映画アーカイブで行われ、11月9日から17日まで京都・京都文化博物館でも開催。入選作品は東京会場で2回、京都会場で1回ずつスクリーン上映が行われ、U-NEXT、DOKUSO映画館でのオンライン配信も予定されている。 ※塚本晋也の塚、大島渚の渚は旧字体が正式表記 ※吉田恵輔の吉はつちよしが正式表記 ■ 第46回ぴあフィルムフェスティバル2024 2024年9月7日(土)~21日(土)東京都 国立映画アーカイブ 2024年11月9日(土)~17日(日)京都府 京都文化博物館 ※いずれも月曜休館 □ PFFアワード2024 入選作品 「I AM NOT INVISIBLE」監督:川島佑喜(21歳 / 東京都出身 / 武蔵野美術大学 造形構想学部 映像学科) 「アイスリンク」監督:王紫音(23歳 / 中国出身 / 清華大学美術学院) 「秋の風吹く」監督:稲川悠司(26歳 / 愛知県出身 / フリーター) 「あなたの代わりのあなた展」監督:山田遊(28歳 / 東京都出身 / 劇団主宰) 「Into a Landscape」監督:山中千尋(30歳 / 兵庫県出身 / 東京藝術大学大学院 映像研究科 アニメーション専攻) 「END of DINOSAURS」監督:Kako Annika Esashi(26歳 / アメリカ出身 / 国連職員) 「季節のない愛」監督:中里有希(22歳 / 山形県出身 / 東北芸術工科大学 デザイン工学部) 「鎖」監督:杜詩琪(25歳 / 中国出身 / 武蔵野美術大学大学院 映像・写真コース) 「これらが全てFantasyだったあの頃。」監督:林真子(27歳 / 兵庫県出身 / 会社員) 「さようならイカロス」監督:田辺洸成(20歳 / 福岡県出身 / 青山学院大学 総合文化政策学部) 「さよならピーチ」監督:遠藤愛海(22歳 / 静岡県出身 / 京都芸術大学 芸術学部 映画学科) 「サンライズ」監督:八代夏歌(18歳 / 愛知県出身 / 愛知県立旭丘高等学校 美術科) 「正しい家族の付き合い方」監督:ひがし沙優(14歳 / 大阪府出身 / 中学生) 「ちあきの変拍子」監督:白岩周也、福留莉玖(18歳、17歳 / 鳥取県出身 / 米子工業高等専門学校 放送部) 「チューリップちゃん」監督:渡辺咲樹(22歳 / 宮城県出身 / 東北芸術工科大学 デザイン工学部) 「分離の予感」監督:何英傑(25歳 / 中国出身 / 武蔵野美術大学 造形構想学部 映像学科) 「松坂さん」監督:畔柳太陽(25歳 / 愛知県出身 / フリーター) 「よそのくに」監督:尾関彩羽(21歳 / 愛知県出身 / 名古屋学芸大学 映像メディア学科) 「わたしのゆくえ」監督:藤居恭平(32歳 / 滋賀県出身 / 会社員) ※年齢、職業(学校名)は応募時のもの ■ 荒木啓子 コメント 自主的に生み出される映画からの熱と想いを浴び、手間暇かかる創作がこれだけ続けられ完成されることが日常にある、その芳醇さに打たれ続ける、日々感嘆符ばかり並ぶ数か月を、16名のセレクション・メンバーと共に過ごした。 改めて、ゼロから映画を生み出す皆様に、敬意と、ご応募くださった感謝を伝えたい。 ありがとうございます。 延べ3日間に渡るセレクション会議では「映画制作映画」の増加が話題になった。アフターコロナを象徴しているのではないかという説には皆頷いた。入選作品の少なからずが、映画制作の映画となったことは偶然ではあるが、「映画制作」というものが象徴する“何か”を観客と共に言語化していきたいと感じている。また、本年は、アニメーション作品の増加も目立った。アニメーションやVFXがあることが当たり前、特別ではない世界を実感している。そして、10代の生み出した作品の、映画への純粋な憧れに、襟を正した。 入選19作品は、「第46回ぴあフィルムフェスティバル2024」のスクリーン上映と配信とで多くの方に体験いただけるよう、準備を始めた。9月の東京会場で2回、11月の京都会場で1回のスクリーン上映は、一期一会の場となるので、是非多くの方にご参加いただけることを願っている。 長編・中編・短編、フィクション・アニメーション・ドキュメンタリー、と、あまりに多彩な19作品がラインナップされることになった、コンペティション「PFFアワード2024」。本年の最終審査員5名から9月20日(金)に発表されるグランプリほか各賞も、会場の皆様の投票で決定する観客賞も全く予想がつかないが、19作品を初めて体験くださる観客の皆様の心に刻まれる一作との出会いを想像し、映画祭準備をすすめていく。いま、を紹介するコンペティション部門「PFFアワード」と、映画130年の歴史を網羅する「招待作品部門」で、映画に浸る13日間がもうすぐそこに!