中国が一人っ子政策をやめるのはなぜ?
一人っ子政策廃止で、人口問題はどうなる?
一人っ子政策を廃止しても、第2子を産む人が増えるかどうかについては、効果が薄いとの見方もあります。前述の通り、中国では2年前に夫婦どちらかが一人っ子の場合、2人目の出産を認める緩和策に踏み切りました。この時、毎年200万人の新生児が誕生 すると推測されていたものの、予想よりも伸びなかったのです。 理由として考えられるのは、教育費高騰です。第1子に高度な教育を施すと、経済的に第2子を育てづらくなっているようです。さらに、若い世代の夫婦は第2子にエネルギーを注ぐよりも、自分たちの生活の充実や高齢の親の介護に注力するなど、価値観や環境の変化が影響しています。そもそも今回の廃止案では、あくまで第2子までの出産は認められるものの、3人目以降は依然として禁止されたまま。産む自由は限定されています。 「第13次5カ年計画」では「中高速の成長維持」が目標とされ、習近平国家主席はGDP成長率6.5%以上を明言しました。ほかにも、技術革新や産業の高度化、財政の改革など、さまざまな経済施策が含まれ、一人っ子政策の廃止は安定成長を保つための一つの要といえます。今回の一人っ子政策の廃止は、中国経済の今後の動向だけでなく、政策の負の遺産や今後も継続される産児制限といった人権問題への対応にも注目が集まりそうです。 (南澤悠佳/ノオト)