【詳報】PFAS問題 全国初、公費で町民の血液検査開始 岡山県吉備中央町、希望する790人対象
岡山県吉備中央町上田西の円城浄水場から発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が検出された問題で、町は25日、町民の血液検査を始めた。希望する790人を対象に12月8日まで町内外で行い、PFASの血中濃度などを調べる。環境省によると、公費での血液検査は全国初となる。 【表で振り返る】PFAS問題の経緯 初日は農林業体験宿泊施設・飛躍の郷(さと)ひだまり(同町上田西)で町民50人から採血し、午前で終了した。山本雅則町長は記者会見し「スピード感を持って対応することが大事だと思い、町費で実施した」とした上で「5年後も検査する」と改めて表明し、血中濃度と健康への影響を長期的に調査する方針を示した。 検査は13歳以上が25日と27日~12月1日の6日間、町総合福祉センター(同町円城)を中心に実施。2~12歳は12月1、8の両日、岡山市北区の小児科医院で行う。町は8~10月、浄水場の水を継続的に飲んだ約2400人に調査票を配布。11月25日時点で18歳以上の成人710人、子ども80人が検査を希望した。 町は来年1月にも検査を受けた人に結果を郵送で知らせる。調査票では健康状態や病歴を尋ねており、岡山大と川崎医科大が因果関係を分析する。円城浄水場の水を飲んでいない町民にもほぼ同じ調査票を配っており、比較してPFASの影響があるか検討する。 血液検査を巡っては、血中濃度と健康被害の関係性が明らかではないとして国は慎重な姿勢を示しているが、住民の要望を受け、町は3月に実施を決定。5月に開いた関係住民との意見交換の場で、5年後にも行う考えを明らかにした。 問題は昨年10月、円城浄水場の水から2020年度以降、国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム=ナノは10億分の1)の最大28倍に当たるPFASを検出したと町が発表して発覚。町の有識者委員会は取水源上流に置かれた使用済み活性炭が原因との見方を公表した。町は活性炭の保管企業に1億円超の損害賠償を請求している。 活性炭は既に除去されているが、県のモニタリングによると、浄水場の取水源だった周辺の沢やダムから今年10月時点でも暫定目標値を大幅に超える濃度の検出が続いている。町は問題発覚後、取水源を変更している。