「エイジェンダー(Aジェンダー)」とは?歴史や意味合いなどを解説
ジェンダー・アイデンティティとは、自分の性をどのように認識しているかという感覚のことです。自らの性を表すのに心地よいと感じるようなアイデンティティの言葉と出合うこともあれば、決めたくないと感じたり、また変化を経験することもあるでしょう。 【写真】服に性別は関係ない!マーク・ジェイコブスの「ジェンダーレス」ファッション10連発 今回はそんなジェンダー・アイデンティティのうち、「エイジェンダー(Aジェンダー)」について、武内今日子 東京大学情報学環特任助教にお伺いしました。このアイデンティティが含む経験や感覚、意味合いなどをご紹介します。 監修: 武内今日子 東京大学大学院情報学環特任助教。博士(社会学)。専門はジェンダー・セクシュアリティ研究。非二元的なジェンダー・アイデンティティに着目してカテゴリー形成の歴史や日常的な相互行為について調査研究を行っている。
「定義」を語ることについて
ジェンダー・アイデンティティにまつわる概念の意味を知ると、自身についての理解が深まるきっかけになることがあります。それが自身の感情や思いを伝える手助けになったり、コミュニティの存在を実感できたり、他者の性やアイデンティティを理解し、尊重する一歩にもなり得ます。 ただし、前提として武内先生は、「他者のアイデンティティとなる言葉を定義づけようとするのは、すごく慎重さが必要になる行為」だと言います。それは自認・共感したり、していると思っていた言葉の定義が違った形で説明された場合に、疎外感を覚えたり、それによって傷つくこともあるからです。 「誰しも自分のこれまでの経験や思い、言葉への距離感などを否定されたくないはずです。そういう意味では“定義を話す”ということ自体が、かなりセンシティブなトピックということは理解するべきでしょう」 こうした言葉の成り立ちや定義について話すときは、それぞれの言葉が特定の時期、場所において生じていること、その意味も変化するし、個々人によって解釈が異なる可能性があることを前提とすることが大切だと述べます。