急増する「ADHD」 SNS上のチェックシートで自称する“ファッション化”問題 「軽い気持ちで自称しないで」当事者の訴えも
「nuts」専属モデルの今井アンジェリカは、自身の周りにも“自称ADHD”の人が溢れていると話す。「ギャルも大体忘れっぽかったりするので、“うちはADHDだから”と言う。ただ、ADHDが発達障害だということは知らない子も多くて。周りの子たちも、そういう言葉を、障害とは受け止めずに右から左へ受け流している」。そうした言葉はやはりSNSをきっかけに知るそうだ。 一方、パックンは「“◯◯ができない”だけではなく、ADHDであろう過去に大活躍した人物を受けて、カミングアウトしている有名人もいる。“偉大な成績を残す力の源”というイメージも出回っていて、言って損はないと思う。実はお笑い芸人にもすごく多い。アメリカのコメディアンや役者だと、自虐ネタ込みの面白い人物のキャラ作りにも役立つ。本当の方も、ファッションの方もいると思うが、流行っているのは間違いない」とした。 益田氏は“ファッション化”の懸念として、「“私も発達障害かも”という不安につけ込むビジネスがある。“自分もそうなんだよ”と言って詐欺をする、医師の診断を受けていないのにサプリを売る。アメリカなどではインフルエンサーを使って宣伝する人たちも出てきていて、そういうブームはよくない」と指摘。
一方、グラデーションがあるのも事実で、「1割弱くらいの人は認知の質に違いがあり、個性的であるがゆえに、社会的に苦しんでいる。彼らに積極的に薬物治療をしたほうがいいのか、手帳を渡したほうがいいのか、ラベリングしたほうがいいのかなど、すごく悩みながら臨床している。一人ひとりの患者さんに対して、ドクターが困りごとを解決している段階だ」とした。 では、「ADHDだ」と言われた時、周りの人はどう向き合えばいいのか。株式会社Kaienの鈴木慶太代表は、「発達障害です」と伝えても何も伝わらないため、「自分はこういう時にミスをしやすいです」「こういうことが苦手です」「こういう配慮をしてもらえるとうまくいくと思います」など素直に伝え、話し合える環境をつくることが大切だとしている。 益田氏は「友達に『彼女と別れるんだよね』『離婚するかもしれない』と言われた時の相談と似ている」とし、「それに僕らは『またまた』『大丈夫だって』と言って、後日実際に別れてしまうケースがある。つまり、思ったよりも深刻なわけだ。僕も診察室で話していて、“患者さんが家に帰った時はもっと苦しいだろう”と、少し重めに判断したりする。周りの人は、直感的に受ける反応よりも少し重めに捉えたほうがバランスが取れると思う」との見方を示した。(『ABEMA Prime』より)