<グレイトギフト>裏切りにつぐ裏切りから事件の核心へ 目が離せない作品の魅力を“ヒットメーカー”黒岩勉に聞く
毎週木曜夜9:00より、テレビ朝日系にて放送中の反町隆史主演ドラマ「グレイトギフト」。同作は、うだつの上がらない病理医・藤巻達臣(反町)が「完全犯罪の殺人」をも可能にする未知の殺人球菌「ギフト」を発見したことにより、陰謀の渦”に飲み込まれていくノンストップサバイバル医療ミステリー。 【写真を見る】脚本の黒岩勉氏が「結構振り切ってきたな」と評する、悪い顔がよく似合う津田健次郎 現在第1話~7話まで放送中で、3月7日の最終章から真犯人との対決、さらにストーリーが加速していく。そしてWEBザテレビジョンでは、クライマックスに向けて盛り上がるタイミングで、同作の脚本を務める黒岩勉氏にインタビューを行った。 ■異常に興味を持ったのがきっかけ ――「グレイトギフト」の誕生の経緯をお願いします。 自由にやっていただいて構わないっていうことだったので(笑)。別の医療系ドラマの取材で病院の裏側を見せてもらった時に、病理部をたまたま見せていただいたのですが、そこで院内感染や耐性球菌とかが見つかった時に病理医の先生がまず検査するんですっていう話を聞きまして、バイオハザードマークがついてるような個室があって、その奥はちょっと見せられないって言われたんですけど、その時に異常にそこに興味を持ってこういう世界があるんだなって思ったのがきっかけですね。 ――書き上げていく中で難しかった点は? 1話完結で書いていくと、毎回毎回新しいこと考えなきゃいけないのでちょっと大変なんですけど、今作みたいな連続物でやっていく場合は、途中からキャラクターが勝手に動き出すので、難しいというよりは割と楽しく書けたかなという感じです。 ――専門知識が必要なストーリーで、フィクションで良いところとフィクションではいけないところがあると思いますが? 病理医の先生とか、あと培養のプロの方とか、そういう方々のご意見をいただいて書いてきましたが、こう言ったら語弊があるかもしれないですが、ある特徴を持った球菌をフィクションで作っても、それがうそにはならない、絶対ないとは言えない世界なんです。フィクションなんだけど、意外と自由があるフィクションの世界なのかなと感じました。 ■生中継を見てるような感覚で見てほしい ――脚本を執筆される上で、面白くするために心掛けていることとはなんでしょうか? 今回に関して言うと、常に物語が転がっていくというか、なるべく息をつかせる時間を与えないで、ずっと物語が展開するようなところですかね。リアルタイムで物事が進んでく、リアルタイムで起きているものを生中継で見てるような感覚で見てくれればいいなと思って。なるべく飽きさせないようにアイデアをいろいろ入れて手数を増やして、はじめから最後まで見れるような感じで作ろうと思いました。 ■全く違う2種類の人たちの対比を描きたい ――反町さん演じる藤巻はよく結婚できたなという朴念仁なイメージ。そして、波瑠さん演じる久留米は、ちょっと言動も怪しく、二人とも変人で、現実では生きづらそうなキャラクターですが、登場人物の設定のこだわりについて教えてください。 藤巻も久留米も周りからは変人に見えて、生きづらそうに見えるかもしれないですけど、本人たちは別にそんな不幸だと思ってないと思っていて。それよりも、あの二人以外の周りの人たちはなんか不満を持っていたりだとか、人と比べたりとかして生きているんですけど、藤巻と久留米は周りにどう思われようが、自分は別に幸せに生きてると思ってる。全く違う2種類の人種ともいえる人たちの対比を描きたいなと思っています。 ――黒岩さんのお気に入りキャラとかいたら教えてください。 全員(笑)。藤巻先生とかは最初の頃のポンコツぶりから、どんどん上がっていく感じの振り幅が面白くなっていくキャラで、もう連続ドラマならではのキャラクターが変わっていく感じとかはやっぱり面白いなと思います。(佐々木蔵之介演じる)白鳥先生とか、最初はちょっと大きな理想を掲げてやっていて、罪悪感とか持っていたと思うんですけど、そのうちだんだん自分の欲望のためだけにやっていく感じをちゃんとグラデーションで出せていると思います。それぞれのキャラクターがどんどん悪くなっていったりする感じとかが面白いなと思いますね。 ■津田健次郎さんはトリックスター ――個人的には津田健次郎さん演じる郡司先生がすごく好きなんですけど。黒岩先生の想像を超えたキャラになりましたか? うん。面白いですよね。津田さんがやるっていうのは分かっていたんで、すごくハードボイルドの男がいいなと思っていて。すごく悪い人なんですよ。悪い人なんですけど、最後どう変わるのかっていうところまで見ていただきたいですね。郡司がどこまで悪くなるんだろうっていうさじ加減は、津田さんにお任せなところがあったんですけど、やっぱり津田さん結構振り切ってきたなっていう感じで(笑)、すごく面白いです。 ――特に2話あたりの津田さんの小悪党的な表情とかは印象的でした。 あー。でも、あの頃はまだ抑えてたみたいな感じがしましたけどね。4、5、6話ぐらいからかなりすごい。トリックスターですねあの人は。 ■今の時点で3割4割の方が真犯人にたどり着いていてくれたら ――これから事件の核心に向かって物語は突き進んでいきますが、クライマックスに向けての見どころや注目ポイントをお願いします。 一番はやっぱり、犯人は誰なのかっていうのを楽しんでいただけたらっていうのと、久留米と藤巻先生の関係がどうなっていくのかとか、ギフトを巡る争いで最後に勝つのはどういう人で、どうやってこの物語の幕を閉じるのかっていうのを見ていただければいいなと思います。 ――SNSなどで真犯人の考察されている方もいますが、そんな視聴者に向けて。 ベストは、半分ぐらいの方が「この人が犯人じゃないかな」って分かった方が、僕は一番いいかなと思ってます。ちょうどいい裏切りのさじ加減はいろいろあると思いますけど、現時点で3割4割の方が、「真犯人は〇〇じゃないかな?」ってたどり着いていてくれればと思いますね。 ――もう後戻りできないところまで進んでしまった藤巻ですが、最後に彼に残るものは何でしょう? うーん…すごく難しくて、言えないことが多いんですけど(笑)、変わらない強さからくるちょっとした自信ですかね。あと信頼できるパートナーと、ちょっとした使命感がやっぱり残るのかなぁ。