6本塁打の大阪桐蔭 歴史的大勝の要因は「原点回帰」 センバツ
第94回選抜高校野球大会は第9日の28日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で準々決勝があり、大阪桐蔭が市和歌山を17―0で破った。大阪桐蔭は伊藤櫂人(3年)の1イニング2本塁打を含む1試合6本塁打を放ち、大会記録に並んだ。 【過去には小芝風花さんも】歴代センバツ応援イメージキャラ 別次元だった。今大会は前の試合まで26試合で計6本塁打にとどまっていたが、大阪桐蔭が1試合だけで6本塁打。西谷監督の「長打が打てるチームではない」との言葉に説得力が感じられないほど、打球が次々と外野の頭を越えていった。 五回途中から事前に対策を立てていた市和歌山のエース右腕・米田を引っ張り出すと、ここから本領を発揮した。六回、先頭の1番・伊藤は外寄りのカットボールを中堅左にたたき込むと、打者一巡して2死一塁で再び右打席へ。今度は内角球を引っ張って左翼席に運んだ。 1イニング2本塁打は大会史上初の偉業だ。伊藤が「野球人生で初めて。びっくりした」と驚くのも無理はない。1回戦は無安打で、この日も朝まで調子が悪かったからだ。コーチから「思い切って振ってこい」と助言され、開き直って臨んでいた。 西谷監督が伊藤も含めて各選手に伝えていたのは、上からたたいて打つことだ。甲子園でプレーすると気持ちが高ぶり、バットが下から出るため、たたくぐらいの意識がちょうどいいのだ。大阪桐蔭の歴代の選手たちも実践してきた「原点回帰」の打撃で本塁打を量産した。 6本塁打は桑田真澄(巨人コーチ)や清原和博(元西武など)の「KKコンビ」らが放った1984年のPL学園(大阪)以来。伊藤は「びっくりしている。打てない中でもたたいて、ヒットの延長線上で打てた」と復調の手応えをつかんだ様子だ。 新型コロナウイルスのPCR検査の陽性判定を受けた広島商の辞退で2回戦が不戦勝となり、西谷監督は「勝って力をつけるのが甲子園。1試合少なくて正直難しかった」と漏らす。ただ、それを補って余りある歴史的な大勝だった。【安田光高】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。