組織に頼って働き続けるのは限界がある…定年後に「働き続けられる人」が押さえている要点
定年退職後も仕事を続けている人は少なくありません。収入を得られるだけでなく、社会とのつながりも維持できますし、生きがいにもなるからです。 【写真】これから給料が「下がる仕事」「上がる仕事」全210職種を公開 一方で、組織に頼って仕事を続けるのは限界があります。組織を離れてどのように仕事をすることができるでしょうか。経済学者として日本経済を観測し続け、大ベストセラー『「超」勉強法』をはじめ、独自の勉強法を編み出してきた経済学者、野口悠紀雄氏が、「人生100年時代の勉強法」を伝授した『83歳、いま何より勉強が楽しい』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けします。
️本当の「働き方改革」とは、組織依存からの脱却
しばらく前に、政府が提唱して、「働き方改革」ということが言われました。しかし、私のみるところ、実際に議論されたのは、「働かされ改革」でした。 それは、「組織の中で働くことを前提とし、そのルールを従業員の立場から考え直すということが中心だった」という意味です。具体的には、超過勤務の制限などが問題とされました。 確かにそれは重要なことです。しかし、そうしたことだけが働き方改革ではありません。本当の働き方改革とは、組織から独立した働き方を求めることです。 日本人は、これまで組織に依存しすぎ、それが日本の活力を奪ってしまったのです。いま、デジタル技術の助けで、個人が組織から独立して仕事をすることが可能になってきています。 組織に頼って仕事を続けようとするのには、限界があります。いつまでも仕事を続けるためには、組織に依存せずに自分で働けることが必要です。 ダニエル・ピンクは、『フリーエージェント社会の到来──組織に雇われない新しい働き方』の中で、独立自営業の世界が始まると指摘しました(注)。アメリカはすでに、彼の描いた社会に近くなっています。 リモートワークが利用できるようになると、独立自営への動きは加速されるでしょう。なぜなら、独立したひとまとまりの仕事を組織から請け負いやすくなるからです。 例えば、営業に自信がある人は、これまでのように会社に雇用されるのではなく、会社と業務契約を結んでオンラインで行うことができます。営業という仕事は成果を把握しやすいので、もともと組織の一員としてやるよりは、独立して業務委託契約で行うほうが、お互いにとって有利なはずです。そのための技術的な条件が、オンラインによって整備されたのです。 同じことが、さまざまな仕事で可能です。例えば、フィットネスのインストラクター、楽器のインストラクター、ヨガのインストラクター等々。 こうして、定年退職になっても、何歳になっても、自分の力を利用してオンラインで仕事ができるようになるでしょう。これは、人生100年時代の新しい可能性を開くでしょう。 (注)ダニエル・ピンク『フリーエージェント社会の到来(新装版) 組織に雇われない新しい働き方』池村 千秋訳、ダイヤモンド社、2014年