【高校野球】U―18日本代表候補選手強化合宿…東北勢選手たちの実りの3日間
高校野球のU―18日本代表候補選手強化合宿(4―6日、奈良県内)に、東北勢はセンバツ8強の青森山田・吉川勇大内野手(3年)をはじめ4人が参加した。ここではセンバツ不出場組の3人を紹介する。仙台育英(宮城)の湯浅桜翼(おうすけ)内野手(3年)は多くの選手から技術面を吸収できたと手応え。鶴岡東(山形)の桜井椿稀投手(3年)は持ち味の高い制球力が通用したと自信をつけた。八戸工大一(青森)の金渕光希投手(3年)は本領発揮ならずも、緊張感を忘れず鍛錬を積んでいく。(有吉 広紀) *** ■仙台育英・湯浅桜翼 実り多き3日間だった。「楽しかったです。みんなうまいのでミスなく練習が続くし、野球以外の部分でも勉強になりました」と仙台育英・湯浅が強化合宿を振り返った。2日目に行われた紅白戦では3安打を放ち、「狙った球を強く振れた。いい投手相手でも大事なことだと思う」。結果を出せたと胸を張った。 課題を感じていた守備について、チームメートを“質問攻め”にした。捕球動作や送球について自分と異なる感覚の話を聞き、そのなかで中央学院(千葉)の颯佐心汰(さっさ・ここた)内野手(3年)からの「一度脱力して、リリースのときに100%の力を入れると無駄な力が入らない」という助言を実践。守備力向上につなげるつもりだ。打撃や走塁に関しては「(打撃の)対応力は出せたし、リードやスタートなど育英でやってきたことを出せた」と、全国レベルでも通用したと実感した。 チームは昨秋、県大会準々決勝で敗退。公式戦経験の少ない仲間たちが多い。今春初の公式戦となる、27日の宮城県中部地区予選・仙台商戦に向けて「みんな最初は緊張すると思うし、自分の結果が勝利を左右する」と、昨夏甲子園準Vメンバーとして責任感十分。チームスローガンに掲げた“ワンチーム”を胸に、「メンバーに入った選手も入らなかった選手も、束になって役割を果たしていきたい」と一戦必勝で立ち向かう ◆湯浅 桜翼(ゆあさ・おうすけ)2006年5月28日、千葉県生まれ。17歳。東京・駿台学園中で軟式野球部に所属。仙台育英では1年秋から公式戦ベンチ入り。2年春夏に甲子園出場。168センチ、69キロ。右投右打。 ■鶴岡東・桜井椿稀 手応えと反省の両方を痛感したと、鶴岡東・桜井は強化合宿で感じたことをこう語った。「体つきも違うし、技術も違う。声のかけ方もチームとは違いました」と圧倒された点もありながら、「(紅白戦で)ストレートで押せていたし、フォアボールも出さなかった。けん制でも(走者を)刺せたのは自信にしていい」。実戦で制球力など持ち味を十分に発揮してアピールした。 強化合宿で得たものをチームに“還元”する。「一人一人が役割をわかっていて、それを徹底していた」と意識の高さを感じたといい、「ベンチワークだったり、(ノック時の)声のかけ方だったり、みんなに伝えていこうと思います」とプラスになることは取り入れたいときっぱり。技術はすぐには上がらないが意識だけでも“代表レベル”に引き上げ、チーム一丸となって戦っていく。 紅白戦で結果を残したが「(球速は)たぶん自分が一番遅かった。スピードや(球の)質もみんな良かったし、負けていられないなと思いました」と、現状での差を受け止めながら力をつけていくつもりだ。まずは27日からの春季県大会シード決定ブロック大会そして5月10日開幕の県大会で、個人としてもチームとしても今までより高い意識を持って試合に臨む。 ◆桜井 椿稀(さくらい・つばき)2006年6月27日、長野県生まれ。17歳。中込中では佐久リトルシニアに所属。鶴岡東では1年秋から公式戦ベンチ入り、2年秋から背番号1。174センチ、80キロ。左投左打。 ■八戸工大一・金渕光希 もっとできたはずだという後悔が、八戸工大一・金渕の口調からにじみ出ていた。紅白戦の投球を振り返り、「失点数も(登板した投手陣の中で)一番多かった(4失点)。思い通りの投球ができなかったし、納得がいかない内容でした」。今春のセンバツ出場校や全国の強豪校から集まったチームメートとの対戦で、雰囲気に慣れる前に痛打を浴びてしまった。 あまり多くの選手と話すことはなかったというが、紅白戦の投球やブルペンでの投球練習を間近で見て「(球の)質やキレはみんなそれぞれ違った」と自身が重要視している部分に注目。まだまだ成長が必要と実感した。最終日はラン中心のメニューだったが、「冬場に体力をつけるためかなり走っていたので、それに比べると平気でした」と存在感を見せたという。世代のトップクラスが集まる、県大会とは違った雰囲気を味わい「練習から合宿のように緊張感を持って、気持ちの面から強くしていきたい」と前向きだ。 チームは今月行われた、春季県大会シードを決める八戸地区ブロック大会で八戸学院光星を破って優勝。金渕は光星戦は登板しなかったが、決勝の八戸工大二戦で完投勝ちした。5月10日開幕の県大会に向けて「気を引き締めて、もう一度しっかりやっていこうと話している」と慢心はない。後悔を力に変え、本来の勢いのある投球を披露してまずは春の頂点を目指していく。 ◆金渕 光希(かなぶち・こうき)2006年10月1日、青森県生まれ。17歳。七百中では軟式野球部に所属。八戸工大一では1年夏から公式戦ベンチ入り、2年春から背番号1。183センチ、83キロ。左投左打。
報知新聞社