<ボートレース>“東都のエース”浜野谷 復活へ 地元開催のグランプリ目指す
水上の格闘技と呼ばれるボートレース。14年のビッグレース第1弾「SGボートレースクラシック(総理大臣杯)」(3月18日~23日)が兵庫・ボートレース尼崎で行われたのを皮切りに、し烈な賞金レースがいよいよ動き出した。屈指の強豪がしのぎを削る中、復活に懸ける一人のレーサーがいる。浜野谷憲吾、40歳。同競技を題材にし、アニメ化などメディアミックス展開された漫画「モンキーターン」の主人公、波多野憲二のモデルになった男だ。 92年に地元の東京・ボートレース平和島でデビューした浜野谷は、当時流行しだした旋回技術「モンキーターン」を取り入れ、早くから頭角を現した。常識を覆す天性のターンスピードで艇と艇の間を突き抜け、着実に出世。6年目の97年にG1初優勝、翌98年にボートレース界最高峰のSGを24歳の若さで初めて制した。アイドル並のルックスと相まって、いつしかついた異名は「東都のエース」。絶えず賞金1億円以上を稼ぐ、ボートレースの顔になった。 獲得SGタイトルは4個。07年の平和島ボートレースクラシック(総理大臣杯)では、念願の地元SG初制覇を達成した。しかしながら、優勝賞金1億円を懸けた最大の祭典「賞金王決定戦(グランプリ)」には縁がなかった。その年の獲得賞金上位12人(14年から18人)しか走ることが許されないNo.1レース。02~08年の7年連続を含む11回出場しているが、最高成績は08年の準優勝。「僕はあまりガツガツするタイプではない」と漏らしたこともあったが、02、10年は絶対有利とされる1号艇で優勝戦に駒を進めたものの、チャンスを生かせなかった。 30代半ばを過ぎて、「ファンタジスタ」と称される攻撃力に陰りが見え始めた。スランプに陥り、12年2月~昨年8月まで一般戦を含め優勝戦17連敗。一流選手なら勝って当たり前のイン戦で差され、差しては届かない。12年8月に津で転覆し左肩を負傷。靱帯(じんたい)を伸ばし、痛みで思い通りのレースができなくなった。世代交代の波も着実に押し寄せてきている。