菅原由勢、6月シリーズでの“正念場” 激戦区制し「CL出場」の夢を現実に【現地発コラム】
関根や濃野ら有望な若手もA代表入りを目指す
「CLに出たいというのもありますけど、まずは5大リーグに行かなきゃいけない。少しでもレベルの高いところにチャレンジしたいと思っているので。どこに行っても競争は間違いなくあるし、そういった中で自分という選手の価値を上げていかなきゃいけない。自分のクロスとかラストパス、シュートやフリーキック(FK)の質は上がってきているんで、そこを武器と捉えながら、もっともっと磨いていきたいですね」と高い領域を貪欲に追い求める菅原は、はやる気持ちを抑えられない様子だ。 確かに今の代表を見ると、冨安や久保、鎌田大地(ラツィオ)のようにCL参戦者は何人もいるし、来季は伊藤洋輝(シュツットガルト)や南野も大舞台に立つ見通しだ。自分のそういった立場にならなければ、激戦区の代表右SBに長く定着できないことを痛感しているのだろう。 年齢的に下の世代を見ても、パリ五輪後にA代表昇格が有力視される関根大輝(柏レイソル)がいるし、今季Jリーグで5ゴールを挙げている濃野公人(鹿島アントラーズ)のような新星も頭角を現しつつある。そこに今回代表落選した毎熊もいるのだから、ウカウカしてはいられない。かつての内田篤人(JFAロールモデルコーチ)や酒井宏樹(浦和レッズ)のようにW杯に複数回参戦できるような突出した存在にならなければいけないという危機感は強いはずだ。 昨年9月のドイツ戦(ボルフスブルク)の闘志あふれるパフォーマンスを格下相手の2連戦で示すのは難しいかもしれないが、困難な環境でタフさと激しさ、クレバーさを示すことはできるはず。それをやってこそ、菅原由勢は新たなステージへの一歩を踏み出せる。 今回はこの男の一挙手一投足に注目しながら、6月シリーズをしっかりと見極めたいものである。 [著者プロフィール] 元川悦子(もとかわ・えつこ)/1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに転身。サッカーの取材を始める。日本代表は97年から本格的に追い始め、練習は非公開でも通って選手のコメントを取り、アウェー戦もほぼ現地取材。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地へ赴いた。近年はほかのスポーツや経済界などで活躍する人物のドキュメンタリー取材も手掛ける。著書に「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)など。
元川悦子 / Etsuko Motokawa