マー君獲得 ヤンキーススカウトの舞台裏
■スカウトが肝を冷やした事件 ヤンキースには、合計20数名のプロスカウトがいる。来日したのは、そのうち数名だが、彼らは全員で多角的に意見を交換した。キャッシュマンGMは、「2007年から田中投手をマークしていた」と語ったが、前述した紀田スカウトは、マー君を高校時代から気にかけていたようである。 ポスティング申請が行われる日に備えて万全の準備を整えていたヤンキースだったが、ひとつだけスカウト連中が、胆を冷やした事件があったという。それは、巨人との日本シリーズの第6戦で160球を投げた翌日にリリーフ登板したこと。メジャーでは、肩は消耗品と考えているからなおさらだ。 だが、ロスで行われたエージェントのメディカルチェックでは異常が見られなかったため、ヤンキースは総額182億円という大型投資を決断した。名門ヤンキースは、知られざるスカウトの地道な努力で世界一奪回のために喉から手が出るほど欲しかったマー君と契約合意に至ることに成功したのである。 (取材協力/アスリートジャーナル)