介護費を兄が工面、脳出血になった独居弟の苦悩 「体は資本」老後まで使い続けるなら過信は禁物
■介護のための費用に月5~6万円 年金などが受給できない若い現役世代で収入が途絶えれば、当然ながら、生活が厳しくなります。 「要介護4」と認定されたAさんの場合、介護保険サービスの利用分と、全額自費の介護サービスと合わせ、毎月5万~6万円前後の費用がかかっていました。 Aさんは独身で一人暮らし。室内は車いすで移動し、ベッドから車いすへの移動や、車いすからトイレへの移動も自力でできます。しかし、買い物や入浴には介助が必要です。
こうした状態を支えるべく、訪問介護が週2回、身体機能を維持するための訪問リハビリが週2回、健康状態を確認するための訪問看護が隔週1回というケアプランを組んでいました。 介護保険の場合、介護度などによっても違ってきますが、1カ月に使える金額の上限(支給限度額)が決まっています。Aさんは毎月、この限度額ぎりぎりまでサービスを利用して、在宅での生活を続けていましたが、月によっては限度額を超え、全額自己負担で介護サービスを利用することもありました。
介護保険では、自己負担が1割の場合、3万円のサービスを3000円で受けられます。ただ、これはあらかじめ決まっている限度額までの話です。限度額を超えると、オーバーした分のサービスは全額自己負担となります。 貯金を取り崩しながら生活しているAさんにとって、費用負担が大きいため、兄の金銭的な援助に頼る状態が続いていました。 しかし、兄も年金生活に入ると、いつまでも援助を続けられるわけではありません。Aさん兄弟には施設に入居している高齢の母親もおり、兄は母親の主な介護者でもあります。
多少の不便があったとしても、限度額内で収まるようサービスを絞るなど、Aさんもどこかで折り合いをつけなければならない状況にありました。 体が不自由な状態で年を重ねることの大変さを肌身で感じていたAさんは、「なぜもっと早く健診を受けなかったのか」「自分は大丈夫だと思っていたのに、まさかこんなことになるなんて」と、深い後悔に包まれながら話していました。 ■「自分は大丈夫」の過信が怖い 健診を受けなかったり、「要再検査」と指摘されたのにそれを放っておいたりすると、病気が進行して、Aさんのように突然大病を発症することがあります。