松井秀喜氏、巨人・秋広優人に3番奪取令「長打を期待。チームの状況的に彼には間違いなくチャンス」
巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(49)=ヤンキースGM付特別アドバイザー=が13日、スポーツ報知の独占インタビューに応じ、巨人・秋広優人内野手(21)に3番奪取令を出した。6年ぶりに臨時コーチを務めた2月の宮崎キャンプで熱血指導した背番号55の後継者が阿部巨人の3番に適任という考え。伸び悩む現状を打開して外野の定位置を確保し、3番の重責にふさわしい成績を残すことを熱望した。 潜在能力を認めるからこそ、もどかしい。松井氏は「長嶋茂雄DAY」として開催された3日の阪神戦(東京D)でセレモニアルピッチを務めて、勝利も見届けた。伝統の一戦を含めて今季の阿部巨人の戦いをチェックする中、吉川、門脇らが任されている3番が気になっていた。その打順を打つべきと考えていた秋広の1軍での現状を踏まえつつ、未完の大器への思いがあふれ出た。 「本来は秋広選手がしっかりと結果を出して(3番として)安定して長打を期待できる感じになっていればいいのでしょう。(3番は)理想としては、現役時代の二岡コーチのような3割、20本くらいを打つような選手。吉川選手、門脇選手もすばらしいですが、長打を常に期待するタイプの打者ではないと思います」 松井氏による3番の最適解は秋広だった。二岡コーチは右打者でタイプは異なるが、好機に強く、打率も残せて長打力も備えた打者が3番の理想像でもある。二岡コーチとは99年から4年間ともにプレー。02年には主に2番打者として112試合で打率2割8分1厘、24本塁打、67打点をマークする勝負強い打撃を目の前で見ていた。2月の宮崎キャンプで多くの若手を指導した中、秋広にその姿を重ね、スラッガーとしての可能性を感じた。キャンプ直後には、将来的に「3割、40本打っても不思議ではない」とまで評したが開幕は2軍で迎え、1軍昇格後も4試合で打率2割、本塁打と打点は0。厳しい現実は承知の上で、それでも昨季は3番として57試合に出場した実績もあり、またつかみ取って、今度こそは手放さないでほしいと願っている。 「どんな選手もそうですが、結局は自分で打破するしかない。(秋広は)体格に恵まれているわけですし、やはりガーンといくイメージの、相手にとって怖い打者になってほしい。1軍の緊張感もいい意味で作用すると自分で信じて、良い結果につなげてもらいたい。その気持ちの強さと自分が取り組んでいることを全て出し切って、現状を乗り越えていってほしい。潜在能力はあると思うので、本当に本人次第。チームの状況的に彼には間違いなくチャンスです。それをつかむ、つかまないは試合で結果を出すしかない」 秋広が3番に座り、定着するには阿部監督らを納得させる成績を残して、外野の定位置を確固たるものにする必要がある。現役時代の松井氏も長嶋監督によってまずは3番を任され、その後は4番道を突き進んでいった。阿部巨人の背番号55にとっては、正念場の4年目。松井氏はかつての自分も重ねながら、温かくも厳しい目で、後継者の姿を見守っていく。(阿見 俊輔) ◆今日から北陸2連戦 石川県出身の松井氏はDeNAと14日に富山、15日に福井で戦う2試合を前に「北陸のファンからすると、生でプロ野球を見られるのは貴重な機会です。プロらしい試合と、いいプレーを見せてあげられたらいいですね」と望んだ。幼少期に、金沢で行われた中日主催の阪神戦を家族で観戦した記憶が残っており、巨人入団後は93年6月9日のヤクルト戦で篠塚が伊藤智からサヨナラ弾を放ったシーンが強烈に目に焼き付いているという。 ◆「なんとか貢献」 秋広がレギュラー奪取へ猛アピールを誓った。14日のDeNA戦(富山)に向けて13日、新幹線で富山入り。今季は7日の中日戦(バンテリンD)で1軍初昇格を果たすと現在は3試合連続で「6番・左翼」でスタメン起用されている。12日のヤクルト戦(神宮)では3打数無安打に終わっただけに期する思いは強い。期待の背番号55は「何とかチームに貢献できるようにしたいですし、結果も残せるように頑張りたい」と意気込んだ。
報知新聞社