佐藤寛太 人にも仕事にも恋「好きになったら一筋!嫌なこと、しんどいことが多少あっても諦めきれない」
アドリブを見返して「恥ずかしい!」
――じゅんは陸上選手の中学生、軽音楽部の高校生、クリーニング店の店主など、さまざまな「甲野じゅん」として、りのの前に現れます。どう演じようと思いましたか? 最初は、全然違う人物として演じ分けようと思っていました。でも、たぶん監督はそれを求めていないだろうと感じて、自分の中でどんどん研ぎ落とされていって、気づけばもう素の僕に近くなっていました。丸裸にされたような。どの「甲野じゅん」を演じていても、僕自身がしゃべっているような感覚で。恥ずかしかったです。 ――りのと仲睦まじく話すシーンは、アドリブもあったそうですね。素の佐藤さんが垣間見えるようで、リアルな感じがキュンとします。 ありがとうございます。でも、自分で映像を見返すと「俺はなんてアドリブが下手くそなんだろう!」って、もう恥ずかしくて。「勘弁してくれ!早送りしてくれ!」と思いながら見ました(苦笑)。 ――そういったところも、松居監督の演出のひとつなのでしょうか? たぶんそうだと思います。撮影現場では、それが監督の狙いだとはまったく思わず、「これでいいのかな?」と思いながら演じていました。出来上がった映像を見たり、こうして取材で話したりするなかで、気づきました。
「役者を続けられているのは、作品に恋しているから」
――主演の見上さんの印象はいかがですか? 共演したいと思っていた方なので、ご一緒できてすごくうれしいです。毎回、新鮮な顔で、新鮮な声で、新鮮なお芝居をされる方だと思います。りのの暗い面もしっかり表現されているから、笑ったときに強いエネルギーを放つ。人間らしさを感じる、すごく素敵な方だなと思います。 僕が見上さんの年齢(23歳)だった3~4年前は、自分の知識不足・経験不足が原因でなかなか実力を出しきれなくて、いつもピリピリしていました。「尖らないと芝居なんてできねぇ!」みたいな。必死だったんですよね。 でも、当時の僕には難しかったことを、見上さんはまるで息をするように、さらりとやっていて、「俺の尖ったこだわりは何だったんだろう…」と(苦笑)。見上さんは考え方が大人なところが素敵ですし、それがお芝居にも表れているのだろうと思います。 ――“直球の恋愛映画”である本作に携わって思う、佐藤さんの恋愛観を教えてください。 恋って人に対してだけではなく、物や仕事に対してもあると思います。僕が役者を続けられているのも、たぶん作品に恋をしているから。嫌なことや、しんどいことが多少あっても、恋だから諦めきれないんですよね。追いかけている自分が好きというのもあるし、ちょっとした依存とも言える。でも、それが踏ん張るパワーになっている気もします。 ――りのも一直線に“追いかけるタイプ”ですが、共感できる部分はありますか? めちゃくちゃ共感します!僕も、好きな相手がいたらもう一筋です! ――松居監督にも「一緒に仕事をしたい」と、自ら連絡したわけですものね。 はい。僕はそれしかできないので。当たって砕けたいんですよね(笑)。当たりに行きたい先がある、いつか一緒に仕事をしたいと憧れる監督がいるって幸せなことですよね。あぁ、なんていい話(笑)! 撮影:今井裕治 ヘアメイク:Kohey スタイリング:平松正啓(Y’s C) 映画『不死身ラヴァーズ』は5月10日(金)より全国ロードショー (c)2024『不死身ラヴァーズ』製作委員会 (c)高木ユーナ/講談社
めざましmedia編集部