「騎手になった方がええんちゃうか」…高校の恩師が語る「ドラフトの目玉」関大・金丸夢斗が入学時体重50でもプロ入りを確信した理由
高校入学時の体重は50
24日に迫ったプロ野球ドラフト会議。1位指名の重複が予想され、今年の目玉選手とされているのが関大の金丸夢斗(かねまる・ゆめと)だ。1年生の秋からリーグ戦で投げ始め、4年間で20勝3敗、防御率0.83、奪三振率は11.72にも及ぶ。 【写真】す、すけている…全米も絶賛!大谷翔平の妻・真美子さん「衝撃のドレス姿」 神戸市立神港橘高校時代は全国的には無名で、進路もなかなか決まらなかったというが、恩師である城井直史監督は早くからプロになれる逸材だと確信していた。 城井監督は初めて金丸の投じる球を見たときの「衝撃」を今も忘れられないでいる。 「私も何百人、何千人と高校球児を見ていますが、こんなすごいピッチャーがおるのかと驚きました」 金丸が神港橘に入学したときはコーチだった城井監督は、Bチームを任されていた。練習試合では送り出した投手がみな打ち込まれてしまうという試合が続いていたため、あるとき生徒たちを発奮させようと檄を飛ばした。 「誰か、ましなピッチャーおらへんのか」 すると、ある生徒が意外な反応をする。 「先生、すごいピッチャーがいますから、もうちょっと待ってください」 誰かと聞けば「金丸です」と言う。入学時の身長は157、8で、体重も50程度しかなかったという。
体は中学生でも、ボールは大学生
「ほんと、騎手になったほうがええんちゃうかって(笑) 金丸はシンスプリント(すね付近の炎症)を患って入ってきており、まだキャッチボールもできない状態でした。中学時代に名前が知られていたわけでもなく、強豪校から声がかかったということもなかったはずです。 当時の安田(涼)監督が高野連の審判をされていた金丸のお父さんと面識があり、うちを選んでくれたそうです。安田先生は金丸のことを中学時代から知っていたみたいですけど」 夏前になって足の痛みが治まってくると、いよいよ金丸がベールを脱ぐ。場所はサブグラウンド。キャッチボールをひっそりと始めたが、城井監督はその球筋に目を奪われた。 「球の回転がすごくよくて、重力に逆らって向かってくるようなボールでした。体は中学生でしたけど、ボールは大学生。球速は120/h台後半でしたが、とにかく球質が素晴らしくて、この子はプロに行けるんじゃないかと思いました」 興奮を抑えきれずに金丸に言った。 「おまえ、早く怪我を治せ」 夏を迎えるとBチームの試合で投げ始める。対戦高校の指導者らも口々に「ええピッチャーおるな」と称賛した。 「金丸には1年生のときから『プロを目指して頑張れ』と言ってプロを意識させるようにしました。コロナもありましたが、その後も順調に成長してくれて、3年生のときには私の中では『プロに行けるんじゃないか』が『プロに行くだろう』に変わりました」 そして、城井監督は満を持して、報徳学園に練習試合を申し込む。 つづく後編記事「『ドラフト』コロナ禍でこぼれ落ちた超逸材 関大・金丸夢斗が高校時代、恩師から言われ続けた言葉」では、報徳学園戦での秘話や、類を見ない独特な感性、素顔など恩師だからこそ知る金丸について語ります。
週刊現代、鷲崎文彦