マイクロソフトがAI搭載「Copilot+ PC」投入 ライバルは「MacBook Air」、新たに始まるPC競争
PCといえばインテルやAMDが供給する「x86系」が思い出されるが、Snapdragon Xシリーズは「ARM系」。x86系のWindowsアプリを動かすにはエミュレーションが必要だ。マイクロソフトはアドビやSpotifyなどと協力してARM版アプリを増やしており、「日常的な業務の90%はARM版アプリで行える」としているが、動作速度と互換性の面でリスクを抱えているのも事実である。 互換のリスクはアップルが2020年に乗り越えたものだ。
アップルは2020年、Macで使うプロセッサーをインテルから自社開発の「Appleシリコン」に切り替えた。Appleシリコンはスマートフォンと同じARM系であり、x86系とは互換性がない。しかし、独自の設計で消費電力の低さとピーク性能の高さを両立することで、Appleシリコン採用以降のMacは評価を高めてきた。 面白いことに、マイクロソフトは発表の中でことあるごとにアップルの「MacBook Air」を引き合いに出していた。
マイクロソフトでSurface担当コーポレートバイスプレジデントを務めるブレット・オストラム氏は、Copilot+ PCと同時に発表した新しいSurfaceシリーズの開発方針を次のように説明する。 「Copilot+ PCを展開するうえで、パフォーマンス面でアップルを打ち負かすこと、価格面でアップルを打ち負かすことを目指した」 もちろん、x86系プロセッサーを作っているインテルやAMDも、プロセッサーの機能改善には取り組んでいる。だがマイクロソフトは、「対アップル」を考え、クアルコムとともに新しい改善を待ちきれなかったようだ。
マイクロソフトがクアルコムと組んで「MacBook Airより優位に立つPC」を開発する最中に生成AIブームが始まり、「オンデバイスAIを活用するPC」を開発する必然性も生まれ、結果としてだが、今回Copilot+ PCに使われたSnapdragon Xシリーズが生まれた……という流れである。 ■マイクロソフトのほか6社から同時発売される Copilot+ PCはマイクロソフトのほか、Acer・ASUS・Dell・HP・Lenovo・Samsungの6社から、6月18日に発売される。ARM版Windows 11は以前からあったが、これだけ多くのメーカーから同時に発売されるのは初めてのことでもある。