年賀状じまいで「新年のあいさつ」も終了「特に行わない」が4割超…あいさつ文化の希薄化
年賀状じまい「既にした」64%
年賀状じまいで新年のあいさつもやめます――。年賀状を出すのをやめた人のうち、正月のお祝いメッセージを「特に行わない」という人が4割を超えることが、葬儀情報サイト「葬儀の口コミ」を運営するディライト(東京都新宿区)の調査で明らかになりました。電子メールやSNSの浸透に伴う年賀状離れが、形式的なあいさつ文化の希薄化に拍車をかけているようです。 同社は11月下旬、「年賀状と喪中はがきの文化」に関するアンケート調査をインターネットで実施。年賀状を出す予定の有無や年賀状じまいの理由などを質問し、20~70代の男女計1003人が回答しました。 「葬儀の口コミ」の調査によると、「2025年、新年のあいさつとして年賀状をはがきで出す予定ですか?」の質問に対して、「出さない」と回答した人が62.6%に上り、「出す」と答えた人(37.4%)を大幅に上回りました。 出さない理由には、「年賀状じまいを既にしている」が64.3%で最も多く、「今年から年賀状じまいを検討している」(14.7%)、「喪中」(12.1%)が続きました。かつては、年賀状を出さない理由として「喪中」が多く挙げられましたが、今回の調査では検討を含めて「年賀状じまい」が約8割を占める結果となりました。 年賀状じまいの理由(複数回答)には、「手間の軽減」(43.2%)、「メールやSNSなど電子的な手段で十分」(42.7%)、「人間関係の整理」(20.6%)などが上位を占めており、「郵便料金が値上げしたため」(19.4%)、「経済的負担の軽減」(19.2%)といった金銭的な負担よりも、人間関係やあいさつの煩わしさを軽減する意図がうかがえます。
「喪中はがきじまい」も広がる
また、「年賀状を出さない」という人に、「どんな手段で新年のあいさつを行う予定か」を尋ねた質問(複数回答)に対し、「LINE」が46.7%で最も多かったものの、「特に行わない」も44.0%でトップに迫りました。「メール」(15.0%)、「電話」(8.1%)、「SNSへの投稿」(5.4%)などは少数にとどまりました。 喪中はがきについても、出しているかどうかを尋ねたところ、「出していない・出さない」が73.6%に上りました。年賀状じまいのみならず、「喪中はがきじまい」も広がっています。 こうした調査結果について、同社は「限られた時間を効率的に使いたいという現代社会の忙しさや、デジタルツールの利便性が、伝統的な年賀状文化を大きく変容させている」との見方を示しつつ、「形式的なあいさつへの価値観が変化し、新年のあいさつを行う文化そのものが必須とは見なされなくなりつつあるようです」としています。 (読売新聞メディア局 鈴木幸大)