肩に犬が憑いているので、除霊に行ったら「できない」と言われてしまった？

双子の野々子と菜々子。野々子はある日、菜々子の肩に昔飼っていた「タロ」が憑いているという。「落ち着かないから」と、菜々子にお祓いを勧める、野々子。「大好きだった犬になら憑かれてもいいのに…」菜々子はそう思っていた、なぜなら――。sakura(@side_sinmom)さんの短編漫画「犬に憑かれた女の子が除霊できない話」を紹介するとともに、制作の経緯を聞く。 【漫画】犬に憑かれた女の子が除霊できない話 ■昔飼っていたタロが肩に憑いている!?「厄年ではない」けど、厄祓いで除霊できるかな？ ある神社にご祈祷に行った、野々子と菜々子。厄祓いをお願いすると、「厄年ではないようですが…」と言われてしまう。「厄年じゃないと、厄祓いってできないんですか？実は犬が憑いているみたいで…」と、祈祷して欲しい理由を話す、菜々子。 菜々子の肩に憑いているのは、昔飼っていた「タロ」に似た犬。「タロだったら憑いててもいいんじゃない」と菜々子は言うが、視えている側の野々子は「やだよー！わたし見えてるんだもん。落ち着かない」という。そうして二人は神社にきたものの「除霊はできない」と言われてしまい、とりあえず御祈祷を受けた。 タロとの懐かしい日々を思い出した、帰り道。突然、肩に憑いていたタロが遠吠えをあげるとどこかへ行ってしまう。「お祓いできない」と言われたのに、まさか、できてしまったーー？タロが消えてしまったことに焦り出す、菜々子。 その理由はーー？物語は想像していなかった結末を迎える。 ■「最後までバレずに驚かせたい」いう強い思いで構成を考えた ――本作の制作のきっかけを教えてください。 コルクマンガ専科というオンラインの漫画講座を受講していて、その課題で描きました。毎週テーマが決まっており、32ページを想定した冒頭８ページを作成するというものです。今回のテーマは「憑依」でした。 ――タロに気を取られてしまいましたが、読み返すといろいろな伏線がありました。構成にあたって、こだわったところがあれば教えてください。 もともと映画が好きで、ホラーの映画だと「どうやって見る人をビックリさせるか」というところが肝というか、エンターテイメントだと思っていたので、どうにかして、最後までバレずに驚かせたいという強い思いがありました。伏線は貼るんだけど、それをカモフラージュさせるためにタロをダシに使いました。 ――「ラストを読むと、胸がぎゅっと切なくなる」という声も多く届いていますが、sakuraさんとしてはどのような気持ちで描いていましたか？ 悲しい思い、切ない思いが伝わって、本当にうれしいです。このお話の前半部分は実話で、私自身が占い師に「犬が憑いている」と言われたことがあります。昔飼っていた犬だったんですが、それを祓った方がいいと強く言われたんです。それで、なんとなく近所の神社に行ったら「除霊はしてません」って断られました(笑)。 でも、考えてるうちに「可愛がってた犬をそこまでして祓わなくてもよくないか？」と思うようになり、好きな犬が憑いてることが嫌じゃなく思えてきました。今回、仲良しの双子を出すことで、同じ時間ずっといた二人という設定が、より一緒にいたい気持ちが強く表現できるのではないかと思い、このキャラクターにしました。 ――今後の目標や展望を教えてください。 今後、今まで描いたテーマの中から一つを選んで32ページの漫画に仕上げていく予定です。どれにするか、正直まだ決め切れていません。インプレッション数でいうと、「圧倒的な力」がテーマの「父の木」という作品です。これは、ほぼノンフィクションです。 「読んだ人が少しでも気持ちが楽になったり、抱える苦しみから救いになれたら――」私も漫画を描く意味が本当にあったと思えるので、おもしろおかしい話というよりは、内側にしっかりテーマを持ちつつ形にしていきたいと思っています。 タロと野々子と菜々子の関係性がわかると、すべての謎が解ける本作。わずか8ページの短編漫画だが「最後のどんでん返しが凄い」「読み返して気づいた」などのコメントが届く。 ■取材協力：sakura(@side_sinmom)