センバツ2023 悔しさを糧に再始動 /富山
第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に北陸3県から出場した、北陸、敦賀気比(いずれも福井)と、21世紀枠の氷見(富山)の3校。いずれも初戦敗退となったが、選手たちは、甲子園で何を得たのか。振り返ってもらった。【国本ようこ、高橋隆輔、青山郁子】 ◇北陸 34年ぶりの出場となった北陸は、大会開幕日の3月18日、1回戦で高知(高知)と対戦。初回に1点を先制するも、その後波に乗れず、1―4で敗れた。 4番でエースの友広陸投手(3年)は「声援や音楽が響く甲子園の雰囲気に飲まれ、力を出せなかった」。敗戦の夜、宿舎で林孝臣監督(40)に「負けたのは全部俺の責任。気にするな」と声をかけられるも、「違う。自分が投球や打撃で流れを持ってくれば勝てた試合。自分のせいだ」との思いが湧いた。「冬以上に体作りに励み、必ず甲子園に戻る」と前を向く。 友広投手と共に攻守でチームをけん引してきた平田海智捕手(同)は出場前、自転車で転倒し右足の親指を骨折。約2週間練習に参加できなかった。「チームに迷惑をかけた」との後悔を胸に挑んだ、一回2死一、二塁の打席。「絶対に打つ」と外角のスライダーを捉え、水野伸星選手(2年)を還した。九回には必死の走塁で好機を作り、全力でチームに貢献した。「二塁送球で盗塁を刺せなかったのが課題。集中して練習していきたい」。笹井多輝主将(3年)は「夢の舞台は楽しかったが課題も見つかった。実戦練習を重ね、修正したい」と力を込めた。 ◇敦賀気比 敦賀気比は3月20日、初戦の2回戦で、大阪桐蔭と5季連続出場校同士で対戦し、1―3と惜敗した。2安打の伊藤剛志選手(3年)は「いい守備もあったし、強い相手といい試合をしたのは自信になる」と手応えを得た。一方、浜野孝教主将(同)は「勝ちきれなかった。点差以上の力の差を感じた」と謙虚に受け止める。 プロ注目の大阪桐蔭の前田悠伍投手(3年)に、相手を上回る8安打を重ねながら、あと一本が出なかった。浜野主将は「投球のギアを上げられると対応できなかった。四死球でもいいので食らいつきたい」と、好投手との対戦を糧にする。 一方で、スタメンには2年生が4人。竹下海斗投手の緩いカーブやチェンジアップに、相手打線は六回まできりきり舞いだった。東哲平監督(42)の「自分のボールが投げられれば通用する」との期待に応えられたのは大きな収穫だ。 勝敗を分けたのは、先制点につながった守備のほころびや、流れをつかみかけた場面でのバント失敗などの手痛いミス。元来、ミスは少ないチームだが、浜野主将は「全員でカバーし合えるように。バントもいろんな状況を想定して練習している」と、さらにすきのないチームを目指す。 ◇氷見 富山県では初の21世紀枠で30年ぶりにセンバツに出場した氷見は3月24日、初戦の2回戦で、今大会優勝校の山梨学院と対戦。先制したが、1―4で逆転負けした。 試合では投打の要、青野拓海投手(3年)が相手打線を6安打に抑えるなど善戦したが、二回以降は打線がつながらず、加えて失点につながる2失策と攻守とも課題を残した。大沢祥吾主将(同)は「レベルの高い相手投手に、自分たちの打撃ができなかった。また内外野のコミュニケーションがとれていれば防げた失策もあった」と振り返る。村井実監督(59)は「守備位置、狙い球など試合中の修正能力が足りなかった」と反省点を挙げる。荒天による順延も含め初戦が開会式から6日後と間隔があった点について大沢主将は「大会をテレビ観戦するなどしてモチベーションを切らさないようにしていた」という。 地元から駆けつけた約2000人の大応援に感謝しつつ、チームは帰県後すぐに練習を再開した。村井監督は「チーム内であの試合に納得している者は誰一人としていない。私も大きな宿題をいただいた」。大沢主将も「今からチーム力を上げ、夏は必ず甲子園に戻って1勝する」と約束した。