中小企業に未来はないのか?『ハゲタカ』真山仁氏が語る中小企業再生のカギ
金融機関はリスクを取れるか?
小説のなかでも、人に投資することの重要性や伏線が随所に散りばめられている。カギを握るのは「産業の血液」と言われる金融機関だ。真山氏は「本来、金融機関はリスクをテイクして、企業や人に対して期待値を込めて投資して、一緒に成功して、成功の分け前をシェアするためにある」と強調する。しかし、メガバンクも信金も絶対安全な会社にしか融資をしない。金融機関と企業が「一緒になって戦って、夢を勝ち取り、果実をシェアするのが本当の投資」だと話す。 しかし、現在の日本では、そうしたリスクテイクよりも、国や自治体による中小企業への助成金や補助金事業の方が目を引く。『ハゲタカ』シリーズのもう一人の主人公で、サムライ・キャピタル社長の鷲津政彦はこう言う。「芝野さん、そろそろ学習しませんか」「資本主義の原理原則です(中略)潰れそうな企業を延命させれば、かえって残酷な結果を生む。無駄なあがきはおやめなさい」。 真山氏は「日本の産業や企業は、国内だけで完結できなくなっている」と指摘し、目の前の注文に応えているだけの状態から脱するべきだという強いメッセージを発する。“モノづくり大国”を標榜する日本には、グローバルに通用する優れたピースがあちらこちらに存在する。それらをつなぎ合わせる優れたプロデューサーと、彼と一緒にリスクを取っていける金融機関が日本の未来に必要なのだ。 ダイヤモンド・オンライン - 『ハゲタカ』著者・真山仁さん「中小企業再生の難しさを描きたかった」