維新の「教育無償化」与党予算原案反映も「空手形」批判 「この程度で『約束』はアウト」
自民、公明両党が、令和7年度予算編成大綱案に盛り込む「教育無償化」の文言の原案が判明した。日本維新の会の要請を受けた措置。原案では「教育無償化を求める声があることも念頭に」授業料減免などを拡大するとした。維新幹部は与党原案に要望を反映させた成果として胸を張るが、党内からは早くも「空手形」との指摘が出ている。 与党原案に維新の要請が反映されたのは、維新が令和6年度補正予算案に賛成する条件として、維新と自公の間で教育無償化などに関する実務者協議を行うことで合意したためだ。与党は維新側から聞き取った要請を反映させて原案を作成し、2025年大阪・関西万博に向けた「公共・日本版ライドシェア」なども盛り込まれた。 だが、党内の評価は割れている。原案に明記された教育無償化に関する表現が文言上のテクニックで、どのようにも解釈できる「霞が関文学」の典型となっているためだ。ある省庁担当者は「本気でやる場合は『目指す』などと書く。『念頭に』という表現は気にしてますよ、ぐらいの意味合いだ」と解説した。 維新は教育無償化のメニューとして、幼児教育▽学校給食▽高校教育▽大学を含む高等教育▽奨学金返済免除-などを挙げ、与党側の譲歩を勝ち取りたい考えだ。吉村洋文代表(大阪府知事)は大阪府が今年度から始めた高校授業料の完全無償化の全国展開を目指しており、維新側は約6千億円で実現可能と主張する。 19日の自公維政策責任者会合で、維新側は高校授業料無償化について、7年度予算案の衆院採決前の来年2月中旬までに制度設計も含めて結論を出すよう求めた。維新執行部には教育無償化を旗印に党勢回復につなげ、政局の中心に返り咲きたいとの思惑もある。 維新古参メンバーは「この程度の表現で約束されたと思い込んでいるのなら完全にアウトだ」と新執行部の対応を非難した。前原誠司共同代表は周囲に「まずは与党案に書き込んでもらうことが大事。中身は実務協議の中で詰めていく」と語った。(千田恒弥)