“魅力的なおじさん”が弱小政治家役の熱演で凄く辛くなる 「対外秘」のチョ・ジヌンに注目
「悪人伝」のイ・ウォンテ監督が手掛けた「対外秘」が、11月15日から公開される。同作に出演しているチョ・ジヌンは、韓国では “魅力的なおじさん”の愛称を持つベテラン俳優。本記事では、“弱小”政治家役を熱演したチョ・ジヌンにフォーカスする。 【動画】「対外秘」本予告編 本作は、権力を競い合う表社会の政治闘争と、莫大な金を巡り命まで奪い合う裏社会の死闘を描き、騙し合いと裏切りの心理戦、襲撃と返り討ちの無限ループが展開する予測不可能なサスペンスムービー。 1992年、釜山。国と国民に尽くす政治家・ヘウン(チョ・ジヌン)は、国会議員選挙への立候補を決意。ところが、陰で国をも動かす黒幕のスンテ(イ・ソンミン)が公認候補を自分の言いなりになる男に変える。虫けらのように踏みつぶされ、弱小政治家に成り下がったヘウンは、リベンジを果たすべく国を揺るがす“極秘文書”を手に入れ、ギャングのピルド(キム・ムヨル)と手を組み無所属で出馬。地元の人々からの絶大な人気を誇るヘウンは支持率1位を獲得するが、スンテが戦慄の逆襲を仕掛ける。だが、この選挙は、壮絶な権力闘争の始まりに過ぎなかった──。 「お嬢さん」では姪との結婚を企む変態老人、「最後まで行く(2014)」ではターミネーターを彷彿とさせる不死身の悪役、「権力に告ぐ」では利権に立ち向かう熱血検事――どんな役でも自分のものにし、時にスタイリッシュに、時に卑劣な男へと変貌するチョ・ジヌン。本作で演じたへウンは、妻に頭も上がらない万年“候補”止まりの政治家という役どころだ。 企画の段階からチョ・ジヌンを主演に考えていたと語るイ・ウォンテ監督。「40代の普通の男性の姿で、近所の兄さんのようで、守らなければならない家庭がある普通の人が社会的な生存の危機に追われ、やむを得ず悪人になっていく姿を表現しなければなりません。彼は40代の日常的な姿と、徐々に変わっていく微細なディテール、変わってしまった後の恐ろしさをすべて表現できる役者さんだと思いました」とチョ・ジヌンならではの魅力と円熟した演技力を絶賛している 一方、チョ・ジヌンは自身が演じたへウンについて「普通の人です」ときっぱり。しかし「人は常に正義ではいられないと思います。ヘウンは自分の状況や立場をよく知っていて、それを抗弁できる僕たちの姿ではないかと思います。演じていて僕にもへウンの様な一面があると知った時は凄く辛かったですが、『これが自分かもしれない』と思って体を張って演じようと思いました。ヘウンはどっちかというと正義の人ではないと思いますが、それでも共感していただけると思えるようなちょっと悔しいところがある人物です(笑)」と、誰しもが共感でき、誰しもが抱く人間の醜悪な部分を持つ魅力的なキャラクターだと語っている。 さらに「政治家としての夢を諦めないヘウンのように、私は俳優をやめようと思ったことはありません。私の年齢では新しい仕事を見つけることはできないでしょう。どうせ崖っぷちにいる人なので特に行く先がないところが僕と似ている。私も強い者には弱いのです」と自身とキャラクターとの共通点も冗談交じりに明かした。 「対外秘」は、11月15日よりシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国公開。